03



無事にフランスに着いた。ああもうこれであたしはパリジェンヌ。黄昏ていたら女性スタッフの人が気持ち悪いくらいニヤニヤしてこっちに来た。


「や、ー、2人ともラブラブで寝てるから写真撮っちゃった」


ほらほらとその撮った写真を見せてきた。

その写真というのは雅治をトイレに行かせた後3列シートをベッドのように使って雅治が帰ってきた後の写真っぽい。

起きてご飯の時に聞いたんだけど、トイレから帰ってきたらあたしがごろんとしていてなにやってんだこのブスってすこしムカついたらしい。そんで窓かわ行ってあたしを膝枕してあげたらしい。ツンデレか。

そしてその光景をスタッフのひとがパシャり。やられてしまいましたわ。


「あー疲れたぜよ」

「はいはい、明日早いからシャワー浴びてきな」

「ぴよ」


到着したのが夜だったのでホテル付近のレストランで晩ご飯を食べて解散。宿泊するホテルは今までに泊まったことがない少し近未来ぽいホテル。ヨーロッパの子供の部屋の家具って感じ。


「シャワー浴びてきた」

「はーい」


雅治がシャワー浴びてきたのであたしもシャワーへ。こっちの水は日本と違うから舐めたら不味い。でも美容で飲んでる人もいるよね。あたしは無理だわ。

「はースッキリ!雅治ー!」

「おふっ」


シャワーを浴びて気分スッキリになったあたしはベッドで寝転んでガイドブックを読んでる雅治の上に乗った。


「すまん、今日はエッチな気分になれん」

「ちげーわ」

「脚が浮腫んでるからマッサージしてほしいなり」

「えー仕方ないなぁ」


あたしはほそーい雅治の脚をマッサージしてあげた。ほそーいけどテニス部だったし、できる日は運動してるらしいから筋肉むきむき。すね毛抜きたくなってきた。


「あ、名前。絶対すね毛抜くんじゃなか」

「しないよーそんなことー誰がするのー」

「や、名前に何回も抜かれた経験があるから言ってるんじゃ」


ラジオアプリで日本のラジオを聴きながらマッサージをしているとたまたまパパがゲストで出ている番組だった。少しホームシックになってしまった。


「パパの声聞いたらホームシックなってきた。プリ子持って来たらよかった」

「プリ子じゃなくてまーくんがおるけぇ、こっち来んしゃい」


雅治が手を広げてこっちおいでしてくれたからあたしはすかさず雅治の胸に飛び込んだ。そしてぎゅーと苦しいくらい抱き締めてくれた。


「ほら、淋しくないじゃろ?パパさんやないけど」

「うん」


鼻先にちゅっちゅとキス攻撃されたから、あたしも仕返しに鼻にちゅっちゅしてあげた。パパの声とラジオのDJの人の声をBGMにしながら。なんか悪いことしてるみたい。


(えー下の娘さん彼氏とパリ?ラブラブですね!)
(はい。上の子と一緒に空港まで送ってあげましたよ)
(娘さん達と仲良いんですね。2人とももう大学生?)
(大学生。2人とも彼氏いるけどまだまだパパっ子で困りますよ。)
(とか言って結婚して家を出たら悲しいですよー)
(えーそれはないかな?あーでもウエディングドレス姿見たら悲しくなるかも)


「名前らの話しとるのぉ」

「うん。パパっ子で困るって言ってるけどウエディングドレス姿見たら悲しくなるかもだってさ」

「名前うるってきてる?」

「うん。きちゃった。だってさホームシックだもんー雅治ー」

「はいはい。ぎゅー」


雅治ともう一度強くハグ。ぎゅーとされて少しホームシックがなくなってく。このまま寝ちゃおう。


「雅治、おやすみのちゅう」

「はい、ちゅー」



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