▼ 主人公と仁王がみっちゃん跡部とダブルデート
「は?お前らスコート持ってたのかよ」
「まーね。テニスシューズもあるよ。てか言ってなかったっけ?私たち中1の5月くらいまでテニス部だったんだよ。で、辞めて私は帰宅部」
「私は幸村に誘われて男テニのマネージャー。てか中1のときのやつ履けてよかったし、捨てなくてよかったー」
一ヶ月だけかよと跡部につっこまれた。あの頃はテニスブームだったからね。ドラマでもやってたし。
今日はダブルデートってことで4人でテニスをしようってなぜかなった。あたしとみっちゃんは家の奥底で眠る3回ほどしか着用してないスコートとテニスシューズを出して持ってきた。そしてお姉のブランド物のポロシャツも無断で持ってきた。
「お前らも少しは手伝えよ。ほぼ仁王がコート整備やってんじゃねーかよ」
「それを言うなら跡部もやりなよ」
「氷帝は1年がやってくれるから俺はできねぇ」
「やり方くらいあたしとみっちゃんでも分かるしコート整備は立海も1年の仕事だよ」
「お前さんらが話してる間に終わったぜよ」
パジャマ化してた立海ジャージを着た雅治がにょろにょろあたしたちがいるところに戻ってきた。
「んじゃテニスしますか!」
「いえーい!」
「馬鹿か。その前にストレッチだろ」
え、何この部活みたいなノリ。念入りにストレッチをして軽くランニングして。マジで部活じゃん。雅治とテニスデートとかしたことないからテニスデートを知らないけど世間のテニスデートもストレッチから始まるの?部活なの?
「さっラリーでもするか」
「私たちできるかななまえ」
「一応元テニス部だったしできるよ」
「あっけーご!私らペア組んでたんだよ。ダブルスしよ!」
「あーそれいいね!しよしよ!だからあたしみっちゃんとこ行く!におたんばいびー!」
あたしと跡部がチェンジして男子対女子ですることになった。あたしと雅治が前衛で跡部とみっちゃんが後衛。
「胸元見るなエッチ」
「脚見とるんじゃ、バーカ」
「見るな、バーカ」
「黙れよ、バーカ」
「あ、はい」
「はい」
みっちゃんに怒られて試合開始。みっちゃんがサーブだ。
「あれ?サーブってどこからするんだっけ?サーブってコート内に入ったらいいんだっけ?」
跡部がすごいため息をついた。まぁあたしはテニス部マネージャーだったから今までテニスに関わってきたし部活中に審判だってしてたりしたからルールは分かってる。しかしみっちゃんが最後にテニスをしたのは5年以上前だしテニス歴約1ヶ月ルールを覚えてるはずがない。
跡部は今更ルールを教えるのはめんどくさくなったのかハンデとしてあたしたちはコート内にボールが入ればオッケー、ツーバウンドして打ってもオッケーとなった。
「いくよーえいっ」
「いたっ」
みっちゃんのサーブはあたしの頭に直撃。みっちゃんは慌ててジャンピング土下座をした。そしたらみっちゃんは膝を擦りむいてしまった。
「はぁ。そんなド派手に土下座するからだろ。立てるか?」
「ちょっと待って」
跡部がため息つきながらみっちゃんの方へダラダラと歩きみっちゃんに手を差し伸べた。しかしみっちゃんは痛くて立てないみたいで座りっぱなし。そしたらまた跡部はため息をついてみっちゃんを抱き上げてコート内にあるベンチに座らせて手当てをし始めた。
あっ
「まーさはるくん、あんたはあたしに大丈夫って声掛けずに笑ったよね」
「いや、だって面白かったから」
ネット越しに雅治と会話。雅治は座り込みネットをイジイジし始めた。あたしも座ってみた。お尻がチクチクして痛い。
「跡部の対応見た?呆れつつもケガしたみっちゃんを抱き上げて手当てだよ」
「すげー」
「あんたもやってみてよ、あたしに」
「えー」
「ほら、この脚触れるよ」
あたしはスコートをスーッと上に上げて少しせくちーにしてみた。
「プリッ」
「きゃっ」
雅治はネットを跨ぎあたしの脚をスッと撫でて抱き上げてくれた。
「抱き上げたけど何すればええの?」
「んーないかも」
「じゃあ下ろしてもええか?」
「えー」
「はいはい!いちゃつくの終わり!テニスしますよー」
手当てが終わり元気になったみっちゃんがこっちに走ってきて雅治の肉のないお尻を蹴った。
「いたっ。仁王のお尻痛い」
「俺だっていたいぜよ。はい、なまえさん終わり」
それから4人でテニスをしてたんだけどあたしとみっちゃんは疲れたし久々ラケット握ったからマメができたのでベンチに座って写メったりおしゃべりしたり。
雅治と跡部はまだずーっとラリーしてる。そろそろお茶したい気分なのに。みっちゃんにそう言ったらみっちゃんもお茶したい気分だった。
「ねーそろそろどっかでお茶しませんかー」
「お腹すいたよ」
2人でぶーぶー言ってると跡部と雅治がこっちに来てくれてお茶に行くことに決定。
「仁王がおしゃれな店知ってるのって腹立つね」
「うん。いつもお姉様のオススメとかあたしが行きたい店だったのにモデル始めてからはモデル仲間のオススメ行ことか撮影で使った店とか行こった言ってくる」
「自分のオススメとか行きたかった店ってのはねぇのかよ」
「ピヨッ」
「あーないね。仁王食に興味ないから。でもご飯行こうとは誘ってくれる」
「それはご飯が食べたいよりもデートのお誘いだな」
「恥ずかしいからやめんしゃい」
仁王は顔を赤くして海の方を見つめた。今日はとても暖かく春って感じでテラス席にしといてよかった。いい感じで風が吹いてて気持ち良い。
「しばらくガチで跡部とお別れかー」
「そーだな」
「ゆーて跡部とは出会って半年くらいだけどねーみっちゃんはゴールデンウィークとか遊びに行くんでしょ」
「うん!三連休とかあるから月1は会える!」
「お前らもマンションは同じだが大学遠くなるし今までよりも会えなくなるんじゃねーのか?」
「あーそれね。立海の建築学部ってキャンパスがあたしの大学と同じ駅なの」
「じゃあ今までとそれほど変わらねぇってことか」
「そうそう!でも仁王が大学生なったからもっとモデルの仕事増やすと言ってる。人気にならないといけないけどね」
「人気も必要だが仕事したいと思われるようにならねぇとな」
「仁王あんなやつだけど好かれやすい性格してるよね」
「みっちゃん、あんなやつとはなんじゃ」
「あんた自分のことまともな人間とでも思ってるの?」
「おん」
「まともな人間は食に興味あるよ」
「そんなん偏見じゃ。みっちゃんだって」
「私だって?」
「言い返す言葉が見つからない…」
この時間が楽しくて楽しくて。またダブルデートもいいかなって思った。次はいつ集まれるのかな。案外近かったりしてね。prev / next