▼ 主人公のお誕生日
「お迎えに参りました。」
「え?」
「早く行くぜよ。」
「は?待ち合わせ3時じゃなかったの?今10時だよ?仁王起きれないって行ったじゃん!」
「あれは嘘。サプラーイズ。」
そんなサプラーイズはいらないんだよ。サプラーイズって言った顔がすごくムカつく顔。
最初っから言ってくれたら準備してたのに。とりあえず仁王を家にあげてあたしは出かける準備。
パーっと化粧やって仁王に軽く髪の毛を巻いてもらってポニーテール。こないだみっちゃんにもらったピンクのリボンをつけた。
仁王の格好が白のTシャツにジーンズにシャツを羽織っていたのであたしもマネしてみた。
「おっ待たー」
「パクリか。」
「パクリですな。」
「んじゃいきましょ!」
「ピヨッ。あっ先にプレゼント。」
「マジですか?」
「ピヨッ。これをはいてお出かけしませんか?」
仁王がほいっと赤いスニーカーを出してくれた。あれ、これって!
「待て待て待て待て。これってさ?」
「そーじゃよ。山田が欲しがってたスニーカー。探すん大変すぎたぜよ。ちなみに俺とオソロ。色違いもよかったけど俺もこの色がよかった。」
「やばいうれしい!早速はかせていただきます。」
仁王からのプレゼントはあたしが欲しかったブランドのスニーカー。海外にしか売ってなくて日本にも売ってるのは売ってるけどあまり手に入らないからちょーうれしい。
ハイカットのスニーカーなので少しだけロールアップした。
「どこ行くの?」
「えー聞きたい?」
「そりゃ、まぁ。」
「まずは山田が行きたがってた動物園。」
「おおー!」
「そしてーラブラブホテルでラブラブかアウトレットでラブラブショッピングか。」
「それはラブラブショッピングでお願いします。」
「チッ。」
「ふん。」
「さっ行くかのぅ。」
大学になり高校と比べて仁王と会う回数は減ってよくて週2とかになってしまった。お互いバイトも勉強もサークルもあるしね。それに仁王モデルの仕事も前より増やしたみたいだし。
それでも大学の友達からしたら他校で忙しくて週2なら充分!長年付き合ってて週2で物足りないのは凄いと言われる。
「あれ?仁王ん家車変えたの?しかも5人家族なのにツーシーター」
「これこないだ父さんが買ったやつ。俺ん家も二台持ち家庭の仲間入り。山田が誕生日やから貸してくれたなり。」
「え!やばい!パパさん最高!んじゃ仁王さん運転よろしくね!」
「プリッ。」
仁王がエスコートしてくれて座席に座った。凄く車が低くて違和感満載。
「何回か練習したけど緊張するぜよ。」
「えっあたし死にたくない。まだこのスニーカー堪能してないよ。」
「はぁ。そーいうときは頑張れダーリンじゃないんか?」
「頑張ったらお疲れダーリンって言ってあげる。」
「でわ動物園に行くかのぅ。」
動物園に行くとサルがキーキー鳴いてたりキリンがニョロニョロ下を出してたり特にうああってなることはなかった。でも動物を見るのはすごーく楽しい。
「わっふれあい動物園だってさ!」
「入る?」
「いや、服汚れるからやめとく。」
「相変わらずですのぅ。」
「そんなあたしは可愛くない?」
「いーや、逆にうさちゃーんとか言ってたらドン引きしてたぜよ。」
あたしは動物見るのとか動物番組は大好きなんだけど触るとなると少し苦手ってか汚いと思ってしまう。多分、親が動物好きじゃないからペット飼ったことなくて動物に触れる機会あんまりないからかな。でも友達の家のペットなら可愛いと感じる。みっちゃんちのジャッキー(大型犬、種類は分かんないけどすごいやつ)とはマブダチだ。
「あっ爬虫類の館だって。入ろ。」
「おん。」
気持ち悪いカエルとか太くて長いヘビ、クリクリおめめのトカゲとか普段お目に掛かることができない爬虫類がたくさんいる。
「このカエルでかい。」
「山田カエル嫌いって言ってるのにこーいうとこ来たらカエルばっか見るのぅ。」
「嫌いだけど嫌よ嫌よも好きのうちってやつ。怖いもの見たさってやつ?」
「ふーん。分からんけど分かるかも。」
「何それ。」
「分からん。」
その後ペンギン見てライオン見てトラを見て六甲おろしを歌いながら動物園を後にした。
仁王はなんと六甲おろし歌えなくて驚きんこ。しかし仁王に六甲おろし歌えるのは関西人だからだと言われた。そうだったのね。みんな歌えるもんだと思ってた。
「それでは、ラブラブホテルへ…」
「ラブラブショッピング!」
「チッ。」
「ふん。」
久々仁王とデートらしいデートしたかも。いつも買い物だけとかご飯だけとかイベント行ったりとか。
今回はあたしの誕生日だからいつもと違う感じだけどこれからもこーやってどっか行けたらいいかもね。大学生なったからお金も時間もたーっぷりあるしね。
「におー」
「ん?」
「好きだよ。」
「プリ。」prev / next