寝る前に跡部先輩にお礼のメールをして寝た。朝起きたら跡部先輩からの返信はなかった。すこし寂しいけど跡部先輩だって忙しいし仕方ない。
(今日の夜暇か?)
3日後、跡部先輩からメールが来た。用事もなければバイトもない。嬉しくて直ぐに大丈夫ですと返した。
しばらくして跡部先輩が何時まで学校があるか聞いてきた。これはご飯のお誘いだったりして、また嬉しくて4時半までと直ぐに送ると電話番号教えてくれと返ってきた。電話番号を送ると知らない番号だけど多分跡部先輩から掛かってきた。
「もしもし、跡部先輩?」
「ああ、そうだ。今日7時頃から晩飯食べに行かねぇか?」
「はい。大丈夫ですよ。」
「4時半まで時間あるが…」
「あっ大丈夫ですよ!ゼミの課題やろうと思うので!」
「じゃあ氷帝まで迎えに行く。外で仕事しててそっちの方が早ぇし。大丈夫か?」
「はい!じゃあまた大学の近くになったら連絡ください。」
「分かった。じゃあまた連絡する。」
「連絡待ってます。お仕事頑張ってください。」
「頑張ってくださいか、いいな。」
「え?」
「いや、なんでもない。じゃっ、切るぞ。」
やっぱりご飯のお誘いだった。3分にも満たない通話だったけど私の胸はいっぱいいっぱいの幸せに溢れてる。
昨日数年ぶりにあった先輩で、その先輩ってのは数回しか会話したことないのに好きかもって思ってしまう。やっぱ昨日助けてもらって、社会人!って感じの男らしさ?ってのを魅せつけられたから?
「恋は突然やってくるよ。これ本当の話なんだけど私のお姉ちゃんは一目惚れした人に直ぐにアドレス聞いて付き合って結婚したからね」
電話してから直ぐに同じ学科の友達にこの事を相談してみた。
「へーじゃあ私のこの感じもおかしくはないのね」
「そうそう。どこが好きと言われて分からないけど好きっていうのもおかしくないの。だからどーんっと胸張って今日のデート頑張って」
「デートって言われると照れるね」
「どんな些細な事でも気になる人と会うのはデートだから」
「どんなこともプラスに考えていかないとダメだね」
友達と分かれてから大学のコンュータ室でゼミの課題をして、跡部先輩から大学の門の前で待っててと連絡がドキドキしながら待った。
今日は気分良くてこの間、何のご褒美から分からないけどご褒美で買ったハイヒールをはいてきて正解かも。大人っぽくてでも女の子らしい素敵なハイヒール。跡部先輩気付いてくれ…ないか。そこまで期待してないし。うん。こんなこと考えてると悲しくなるからやめやめ。
ハイヒールを見るのをやめて顔を上げるとスーツ姿の跡部先輩が。この間もスーツだったけどおしゃれスーツで今日はビジネスマン!って感じのスーツだ。かっこいい。
「待たせたな」
「や、大丈夫です!ゼミの課題する機会できたし」
もし先輩と会う予定なかったら期限ギリギリまで課題を放置して泣きながら期限前日に課題してたかも。
あれ?跡部先輩て確か車で来るって言ってたのに何で徒歩なんだろ。
「先輩、車は?」
「駅前のパーキングに停めてる。ここら辺は大学生がフラフラ歩いててあぶねぇ」
「フラフラって、ふふっ、」
いつも友達とだらだら歩いてる駅までの道のりを跡部先輩と。周りからは彼氏に見られたりして。そーだったら嬉しいな。
歩いてるだけで幸せなんだけど、次は手を繋ぎたいなって贅沢な欲望が湧いてくる。でもそれは難しい。でもでも歩いてて私の手の甲と跡部先輩の手の甲がたまーにぶつかるの。ぶつかったらドキッとしてしまう。もどかしい。
「わぁ」
「どーしたんだ」
「跡部先輩ってスポーツカー乗ってそうなイメージだったから」
駐車場に着き、跡部先輩の愛車に乗車。勝手なイメージで跡部先輩はスポーツカーに乗ってそうだなーって思ってたんだけど大きな四駆だった。スーツ姿には少し似合わないけどかっこいい車だ。そしてお値段が高そうってか高い。
「前はそうだったがディーラーに勧められて乗ったら案外良くてな」
「へーそうなんですか」
「去年の俺に言ったら驚くだろな」
しばらく走り、跡部先輩に連れられて来た場所は最近できた商業施設。ちょうど今週の土日に1人で行こうと思ってたところだったから嬉しい。
ショーウィンドウに写る私と跡部先輩。いくら大人っぽい格好をしてもスーツ姿の跡部先輩と並んだら子どもっぽい。ハイヒールはいていつもより背は高くなってもなんか子どもっぽい。少し鬱になっちゃう。
「この店でいいか?予約したんだが」
「あっはい!あ、この店この間テレビで紹介されてたとこだ」
予約してくれてたみたいだ。嬉しい。
ひとつひとつ先輩が私にしてくれる事に対して嬉しいし心がぎゅーとなってしまうからやはりこれは恋なのかな。
久々の恋だからこれが恋なのかよく分からないけど恋な気がする。