01


「なまえに是非来てほしい!」


大学になって初めて入ったサークルのサークル長に誘われて初めてパーティというものに行った。社長とか社会人が来て就活のアドバイスもらえるし将来に役立つから是非来てほしいと言われたら行ってみることにした。タクシー代もくれるって言うしさ。

で、行ったら会場はパーティとは程遠い光景だった。言い方がやらしいけどあれは接待だ。スーツの男の隣に女の子がついてニコニコ笑ってお酒ついでる。私も何杯かキツイ酒を飲まされた。


「帰りたい。」


誰も私の小言なんて聞いていない。欲望のままにお酒を呑んでいるし女の子に飲ませてる。他の女の子も私みたいに誘われたのかな。誘ってくれた先輩を見ると大人の女の人と熱いキスをしている。身内のこういうのだけは見たくないのにサイアク。

女の人足りてそうだしまだ終電間に合うし帰ろ。私が相手をしていた社長は私の愛想の悪さに嫌気を感じてどっかに行ったみたいで今は他のグループに混ざり愛想笑い継続中。抜けたって構わないだろう。


「お手洗い行ってきます。」


誰も聞いてないけど一応報告しソファーから立ち出口へ向かった。あと数歩でドアってところで腕を掴まれた。やばっ先輩に見つかったかと思い振り向くとどこかで見た顔だった。知ってる人だけど名前が出てこない。あんだけ有名だったのに。ど忘れだ。


「山田だよな?覚えてるか?」

「あっ跡部せんぱい?」


声を聞いた途端思い出した。跡部先輩だ。私が中学1年の時に跡部先輩は高校3年生。関わりがないように思えるが私はテニス部のマネージャーをしていて少しだけ関わりがあった。跡部先輩は引退してからも高校のテニス部だけでなく中学のテニス部にも来てくれてたし。


「覚えてくれてたか。お前、帰るのか?」

「あーはい。」


跡部先輩の問いに私は正直に答えた。この人に嘘ついても損も得もないしね。


「荷物は持ってるか?」

「はい。」

「じゃあ一緒に出るか。」


店を出て跡部先輩に一杯付き合えと言われ近くにあるバーに連れて行かれた。


「お前それでいいのか?」

「はい。マスターのオススメって言われたんで。トマトジュース好きですし。」


お酒を飲む気分にはなれなかったのでマスターおすすめのトマトジュースを頼んだ。


「乾杯。」

「かっ乾杯…です。」


小学生ぶりにトマトジュース飲んだ。ドロドロしていて美味しい。ドロドロが嫌いって人もいるけどね。


「お前何であんなとこにいたんだ?」

「それは私のセリフでもありますよ。大学の先輩に頼まれて来ました。就活のアドバイスもらえるって聞いてたんですけどね。」

「もらえたか?」

「ある意味もらえたかもしれませんね。いくら偉くてもあんな奴が社長って会社もあるんだぞって。跡部先輩は?」

「俺は上司にこれも社会勉強だって。」

「へー跡部先輩にも上司いるんだ。」

「当たり前だろ。」


跡部先輩はイギリスの大学に行って日本で就職。親の会社に行ったと思ったらそうではなく就活して商社に就職したらしい。

中1ぶりにしかもその時挨拶程度しか話したことなかった跡部先輩とこんなにベラベラ話してるなんて昔の私に教えてあげたらびっくりだろな。


「今は…大学2年か?」

「はい。そのまま氷帝に行きました。」

「そうか。テニス部で集まったりしてるのか?」

「年末皆で集まってますね。後は個々で集まったり。跡部先輩もテニス部で集まったりしてますか?」

「社会人になってからはそんなに集まってねぇけど年末は集まるな。」

「やっぱり年末になりますね。あっそう言えば上司置いてここに来てよかったんですか?」

「酔っ払ってたしバレねぇだろ。」


1時間位話してバーを出た。会計は跡部先輩持ち。数年ぶりにしかも挨拶程度しか話したことなかった後輩に奢るなんて跡部先輩かっこいい。


「送ってく。」


まさかの跡部先輩にタクシーで送ってもらうことになった。タクシーでは大学生時代の話を聞いたりとても楽しかった。そこでお互いの連絡先も交換した。


「お疲れ様です。今日はありがとうございます。」

「ああ、また誘う。」


家の前までタクシーが行ってくれたので直ぐに家に入りシャワー浴びてベッドにイン。

今日はキツイ酒を飲まされて最悪だったけど跡部先輩に会って色々話聞けて楽しかったな。

跡部先輩にお礼のメールをして寝ることにした。

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