「どこで描こうかなー」
「適当にグラウンド描いて図書館のソファで寝よー」
「あ、それありすぎおすぎ」
高校の芸術選択は音楽、書道と美術の3つある。
パパの娘だけどあたしはリコーダーとかピアニカが昔から苦手だったから音楽という選択はなかった。
文字を書くことはとても苦手でノートを取ることや綺麗に文字を書くことはあまり好きではないので習字という選択はなかった。
消去法で美術!絵の具は嫌いだけどお絵描き大好き。しかも先生が変わったおっちゃん先生で授業がすごーく自由でだいすき。
「やっぱ少し寒いから誰もここでは描いてないね」
「ね!マフラー持ってきて正解!せりか膝掛け半分入れて」
「いいよ。わ、両足絡ませないでよ」
「寒いからいいじゃん。あ、描きにくい」
「ほらー片足だけだよ」
「片足ならいいんだ。ありせりかー」
みっちゃんはピアノ習ってるから音楽選択で他の仲の良い友達は字だけ書くだけで単位取れるからという理由で書道選択。
実質ぼっち授業だったんだけど中学の時まあまあ仲の良かったせりかがいたからラッキー。
あ、幸村もいるけど向こうも友達いるみたいだから授業中はあまり関わりはない。
「これ風景だけでいいのかな?」
「いいでしょ!人いらないよ!これ絵の具で塗るんでしょ?ムズイよ」
「たるんどる!」
はぁ、こんなん言うの真田しかいないよ。振り向いたらやっぱり真田。よりによってなんで真田は体育なんだ。
「ちゃんと人も描け!それでも立海のテニス部か!」
「テニス部と美術関係ないじゃん」
「関係あるなしに最後まで己の考えを貫け」
「元々描きたくなかったんだけど」
「そうだよ!寒くなってきたから寂しい感じのグラウンドをテーマに書く予定だったんだよ!」
「そっそう!だから人いれたら寂しくないじゃん!サッカーボール一個だけ転がしとく予定なの!」
せりかも助太刀してくれて真田の怒りを鎮火することができた。
2人でホッとしたら後ろから真田!と体育の先生の声が。お?
「真田!お前ボール取ってくるだけでどれだけ時間かけてるのかと思えば…」
真田、あたしに説教してたのにいつのまにか先生に説教されてる。ぷぷぷのぷー。