今日は高校最後の遠足だ。高校生なのにおやつのお小遣いは300円まで。小学生のときから値段は変わらない。場所は県外の大きな公園。外国の気分が味わえる大きな公園らしい。
昨日の夜、お姉に遠足どこ行くか教えたら大爆笑された。高3の最後の遠足が公園!!って。むかつくけどお姉は高3の遠足どこ行ったのか聞いたら悲しくなった。ネズミーランドだってさ。同じ私立なのに同じ私立なのに!なんでそこまで差があるんだ。
「え、なんもないじゃん」
「ねー高3なんだからもー少し大人っぽいとこ連れてってほしいよね」
「私立なのにこんなとこでいいの?」
「ほんとそれ。じゃ私とみっちゃんとちょるでインスタ映えする写メ撮ってそのあと他のクラスのイケメンとまわる予定だからあんたは仁王とデートしてきな」
「は?え?みんなでまわらないの?」
「こんなとこ男と歩かないと楽しくないよ。ほら行ってきな」
さっこに押されて仁王ら男子が園内マップを開いてあーだこーだ言ってるところへ乱入。
「どーしたんだよ。急に入ってきて」
「あ、いや。なんもないす」
慎太郎につっこまれて恥ずかしいから戻ろうとしたらちょるちゃんがダッシュで走ってきて、仁王!よろ!と言って仁王の肩を叩いてどっかへ行ってしまった。
「じゃっ!お前らはどっか2人でまわっとけ。俺らドロンするから」
慎太郎たちもどっかへ行ってしまい、あたしら2人ポツン。ちなみに本日まだ仁王とは会話ゼロ。
「俺とまわりたかったんか?」
仁王はニヤニヤしながらあたしに言ってきた。ああ、むかつく!むかつくけど!むかつくけど!まわりたいかと言われたらまぁ、まわりたい。
「や!別に。みんなが他の人とまわるって言うからみんなが仁王と行ってこいて」
「で?俺とまわるんか?まわらんのか?どっちじゃ?」
仁王に手を差し伸べられた。あたしはしゃーなしその手を取り、まわりたいとしゃーなし言ってあげた。