「みっちゃーん!先に海入っとくね!」

「はいはーい。」


高校最後の夏休み。いつものメンバーで海水浴。ダブル丸井はカキ氷買いに行って、ちょるとさっこは焼きそば買いに行って、親友は日焼け止めも塗らず海に行った。焼けてもすぐに皮捲れるからいいらしい。おばさんになってもみっちゃん知らないぞ。

ビーチパラソルを借りて私は丹念に日焼け止めを塗った。


「みっちゃん、後で背中塗って。」

「俺も。」


そう言ってきたのは仁王とあっきー。2人とも運動部のくせして白い。なんか腹立つ。


「みっちゃんの背中は将来のダーリンにしか塗らせないからダメだぞっ。」

「俺ら一言もみっちゃんの背中塗ってあげるって言ってねぇけど。」

「ピヨッ。」


腹立つ。腹立つから心を落ち着かせるために海で1人で遊ぶ親友を見た。

仁王に可愛いと言わせるために白のビキニで紐がピンクの水着を先月ネットで買っていた。とても似合ってる。髪型もこういうときにしかできないとツインテール。可愛いと思う。仁王は可愛いって言ったのかな。


「ねー仁王。」

「んー?」

「今日のあの子の水着姿はどうですか?」

「んー似合っとる。」

「可愛い?」

「おん、可愛ええ。」


照れずにフツーに言ったからおもしろくなかった。


「あいつよく食うけどやっぱガリガリだな。手足ガリガリでお腹出てる系かと思ったけど。」

「ああ、あの子の家族みんなガリガリ族。お姉ちゃんと一緒に肉付きの良い女目指してるらしいよ。」

「へぇーどうでもいい情報手に入れたわ。あっ。」


あっきーが急に声出すから目線の先を見ると親友がナンパされていた。かわいいビキニ女子が1人で海で遊んでたら嫌でもこーなるわ。


「仁王助けに行かないの?」

「ほら、行ってこいよ!」


仁王は真剣に日焼け止めをわたし以上丹念に塗っていた。


「前にこんなことあって慌ててあいつんとこ戻ったときあったんやけど、すげーふてこく対応ってか無視しとって怖いからあれ以来ナンパされてるときは近づいてないぜよ。」

「は?」

「ナンパを散らすには無視とふてこくするのが1番だからって。」

「まぁ、その方法が効果的だけどね。てか仁王弱すぎ。」

「だって女の子は可愛くいてほしいぜよ。」

「それ俺も分かる!せめて俺の前だけでも。」

「ふーん、みっちゃんはどう?」

「んーみっちゃんは彼氏の前ではすごーく甘えそうだけど、お母さんって感じ?」

「あっきーと一緒の意見。」

「む。みっちゃんおこでーす早くこのビーチパラソルから出てってあの子の相手を2人でしなさい!」


仁王とあっきーを追い出したし!ゆっくり昼寝でもしますか。

わたしは海で遊ぶよりもビーチで寝る派なのでね。
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