桜が段々散って葉桜に、そしてその桜も散ってただの木に。そしてちっさな虫がブンブン飛んで4月の春から5月の春になろうとしている。

今日は先週から付き合い始めた白石くんとの初デートだ。白石くんとの出会いは、友達の紹介。中学の頃のグループで私だけ中高一貫の女子高へ進学。女子高なので出会いがない。そしたらそのグループの1人が「あんたの写メ見て紹介してって言ってるやつおるから紹介してもいい?」と言ってきた。高校でできた友人(中学から女子校)にその話をすると大抵友人の紹介で紹介される男はブスらしい。でも友人の紹介は断るなんてできず返事はオッケーした。どんなブスかと思いきや友人から送られてきた相手の写メはイケメン。こんな人世の中にいるん?って感じのイケメン。高校の友人にその写メを見せると悔しがってた。ざまあみろ。

そして白石くんと何回かやりとりし、友人を交えて何回か遊びに行って先週2人きりでランチをして、帰りに告白された。次のデートくらいに告られるのかなと思ってたけど今日だったからドキドキした。

そして今日が付き合って初めてのデート。どこに行くかは決めてない。ノープランデート。場所は梅田と決めているだけ。


「ごんこちゃん!」

「しっ蔵くん!」

「今白石言いかけたやろ。」

「バレた?」

「バレバレや。」


心の中では白石くんと読んでいるが口に出す場合は蔵くんと呼んでいる。まだ慣れてないから心の中では白石くんだ。蔵くんって恥ずかしいやん。


「どこ行く?へップ?」

「んー何かなー気分で京都行きたい。」

「そうだ、京都へ行こう。ってか。」

「うん!そう!そんな気分。」

「じゃあ京都へ行きましょか。」


蔵くんに会って顔を見た瞬間京都へ行きたくなった。これは本当。駅へ向かいPiTaPaでピッと改札を通った。


「京都のどこ行くか決めてる?」

「んー決めてない。京都って家族以外と行ったことないかも。」

「俺もや。京都に何があるか知ってるけどこの駅にこれがあるって知らんわ。」

「右に同じく。」

「左にいるけどな。」


白石くんのビミョーなツッコミをスルーして携帯で京都の観光地を検索してみた。どこがええやろ。


「あ!清水寺どうや?京都初心者はやっぱ有名なとこ行かんとあかんやろ!」


白石くんのこの一言で清水寺へ行く事になった。電車に乗り長椅子ではなく2人席が空いていたからそこへ座った。座席はそんなに広くないからお互いがくっつくかくっつかんかビミョーな距離。そんな距離やから少しあったかい。もっと仲良く親密になったらべっとりくっつかんかな。あー恥ずかしい。

駅に着くまで白石くんと学校であった話とか共通の、私たちを繋げてくれた所謂愛のキューピットの友人の話をしたり会話が途切れることはなかった。


「京都着いたで!」

「この川鴨川?」

「淀川ではないのは確かやな!さっ清水寺行くで!」


橋を渡って、八坂神社の前を通って真っ直ぐ行って途中で曲がって坂登って、坂がきつい。2人でヒーヒー言ってる。


「この坂いつまで続くんやろ。」

「果てしないなー」

「後でお土産屋さん見たい。帰りに。」

「ええで、寄ろ。」


白石くんと歩いてるとたまにお互いの手がぶつかる。手を繋ごうなんて恥ずかしくて言えない。手がぶつかる度に手が熱くなって心臓がバクバクする。こんなんで心臓バクバク言ってたら手繋いだら昇天してまう。


「なーごんこちゃん背中押したるわ。そーしたら楽やろ?」


そう言って白石くんは私の背中を押してくれた。そのおかげで坂を上るのが楽になった。しかし私の心臓は楽ではない。激しくドンドコ言ってる。白石くんの大きな手が私の背中に触れてるんやで。ほんまに昇天しそうや。


「着いたー!」

「やっと清水寺や!でもまた坂ってか階段や。」


門をくぐってチケットを買って清水寺の中へ入った。人がたくさんでゆっくり進んでいる。でもこんな人たくさんいたら迷子なりそう。


「あれ?蔵くん?」


時すでに遅しで白石くんが見当たらない。白石くんは背が高いから上を見たら見つかるかな?しかし今日は外国人の観光客が多く背が高かったから分からなかった。

どこやろーって探してたらグイッと腕を引っ張られた。もしかしてと思ったらやっぱり白石くんだった。白石くんを見た瞬間ホッとした。それは白石くんも同じやったみたいで白石くんもよかったって顔してた。嬉しいな。


「よかったーはぐれたらあかんでって言おうとしたらおらんくて焦ったわ。」

「私も。はぐれたらやばいなーって思ってたら蔵くんおらんくて焦った。」

「はぐれんようにこうしとこ。」


こうする?どうするんやと思ってたら白石くんは私の手を握ってきた。私の心臓はバクバクでもなくドンドコでもなくロックバンドのドラマーが激しくドラムを打つみたいに心臓がすごい事になっている。

白石くんの手は冷たいけど何かあったかくてスベスベしてて気持ちい。安心する。


「ここで写メ撮ろーや。」


こことは多分清水の舞台?とかいうとこで京都の景色が一望できて背景にはもってこいの場所だ。

白石くんはケータイのカメラを内カメにして光の調節をしていた。


「これでええわ。ほら寄って。そんなんじゃ写らんで。」


白石くんに肩をグイッと寄せられて私は白石くんの胸にダイブ。白石との距離はゼロ。白石はいい香りでやばい。


「いくでーはいチーズ。」


カシャッ。写メはいい感じに写っていた。美しい背景よりも私らメインやったのは黙っていた。白石くんと撮れただけで光栄やわ。

暫く歩くとただの道やのに観光客がたくさん写真を撮ってた。何でやろと思ったらそこは清水寺を背景に撮れる絶好のスポットだった。


「もっかい撮ろっか。」


また白石くんの胸にお邪魔させていただきはいチーズ。二回目だからといって慣れたわけでわない。まだ緊張している。どれもが初体験で帰った頃には心臓がほんまにやばいとおもう。

世間のカップルはこれを何回もこなしてるから凄く尊敬してしまう。てかこれ以上のことを何回もしてるんやろ?あーほんまに尊敬しちゃう。


「ほらボーッとしてんと行くで。」

「はっはいぃっ!」


また手を繋いでデート再開。次はどんなドキドキが待っているのか私はまだ知らない。
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