05



「はい、あーん。」

「あちっ。ダチョウ倶楽部じゃないんやからフーフーして食べさせてほしいなり。」


あの後みっちゃんと跡部をほったらかして侑士くんと帰宅。仁王がうちに来いうちに来いとうるさいからあたしは仁王の家へ。手土産にママ特製のお粥を持って。家には仁王しかおらず仁王の咳しか聞こえない。


「フーフーはい、あーん。」

「あちっ。フーフーしてもスプーンいっぱいに掬ったら熱いなり。」

「注文多いよ。自分で食べて。」

「分かったなり。理想を描いた俺がバカじゃった。」

「そうだよ。理想と現実は違うの。皿は洗ってあげるから1人で食べてね。」


仁王がお粥を食べ終えるまであたしは動画サイトで色んな動画を見ていた。アニメとかコントとかライブとか。


「食べ終わったなり。何見とるん?」

「えー海外の下着のファッションショー」

「ふーん。」

「このショーのBGMが生バンドでこれに出てるモデルとそのバンドのボーカル付き合っててランウェイでボーカルがモデルをエスコートしてマジイケメン。ほっぺにチューしてた。あたし下着モデルなるから仁王バンドマンになってよ。」

「でもこの2人別れとるよ。」

「まじで?ってか仁王知ってたの?」

「おん。姉ちゃんが買ってるゴシップ誌に書いちょった。」

「えー2人別れてたのかーじゃあモデルなるのやめる。仁王もバンドマンならないでよ。バンドマンって付き合ったらいけない3Bの一つなんだから。」

「へいへい。てかそれって女遊び激しい職種やろ?おれはなまえちゃん命やから大丈夫なり。なまえちゃん以外でチンコは勃たん。」

「最後の一言で今のセリフぱぁだよ。」

「テイク2はなしか?」

「んー遅いかなぁ。じゃ、皿洗ってくるね。」


仁王から皿を奪いキッチンで皿洗い。久々仁王からなまえちゃんと呼ばれてすこし恥ずかしかった。こりゃ毎日名前呼びされたら心臓やばいわ。チンコはまじいらんけど。


「お皿ありがとさん。」

「いえいえ。」


仁王の部屋に戻ると仁王がチケットをヒラヒラと見せてきた。


「なにこれ。」

「幸村がさっき来て誕生日プレゼントってこれくれた。2枚。これ誕生日の日行かん?」


仁王が幸村からもらったのは今話題の絵画展。絵には興味ないけど知ってる名前だ。食べに行く店は予約してたけどすることは決めてなかったからいいかも。


「いいよ、行こ。」

「あっ、その日夜にパパのライブあるんだけど行く?晩御飯食べた後。」

「ええよ。芸能人いるかのぅ。」

「フツーのライブハウスだからね。多分いないと思うよ。いても雑誌のライターとかじゃないかな?」


前に仁王とパパのライブ(ライブハウスじゃなくて大きなホール)行ったときに関係者席にテレビで見たことある芸能人がわんさかいて2人で興奮した。パパって家ではただのパパだけど外でりゃ一応芸能人なんだなと認識できた。


「プレゼントなに買ってくれたん?」

「今聞くの?だめ。お楽しみなくなる。」

「じゃー晩御飯は?」

「それもだめー」

「けち。」

「普通はそーいうの聞かないの。黙って待つ!」

「ちっ。」

「ってことでちゃんと大人しく寝ようねーじゃないと明日から学校行けないよー」

「明日から学校いやじゃ。」


そう言って仁王はベッドで暴れ出した。そのせいで毛布がベッドから落ちたので仁王を落ち着かせて掛け直してあげた。


「明日4限自習だよ。」

「行く。」

「仁王って本当自習好きだよねー」

「嫌いなやつが見てみたいなり。」

「まっそりゃーそうだけど。ってことであたし帰るね。」

「えー」

「だってお風呂入んなきゃいけないしストレッチとか色々しないとだめだから。」

「泊まればええ。」

「仁王まだ菌持ってそう。また今度お泊りしてあげる。じゃーねーまた明日。」

「おん。分かったなり。全力で治す。」


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