06



「ちょ、聞いてや。跡部最近なんか哀愁漂ってんねん。」

「その前にさ、ここはあんたの家ちゃうねん。あたし何してると思ってるん。」

「眉毛抜いてる。」

「そう、正確に言えば眉毛を整えてるの!」

「で?」

「入るならノックして!こんな姿仁王にすら見せたことない。」

「仁王だってそんな姿見たら百年の恋も冷めるわ。」


眉毛を整えてるとノックもせずに侑士くんが入ってきた。あいつは裸以外なら何見られても何も思わないから別にいいけど。とりあえず眉毛いじりはやめて侑士の話を聞くことにした。


「仁王には今後見せるつもりないから。で?跡部が何だって?」

「ほんまは昨日言おうと思っててんけど忘れてん。跡部が月曜からおかしいねん。何か知ってる?自分らネズミーランド行ったんやろ。」

「あー行った行った。ずーっと乗り物乗りながらそこのシステムに注目してておもしろかった。」

「跡部がわーきゃー言ってるとこ想像つかんわ。ってちゃうねん。なんかそこで変わったことなかったん?」

「変わったこと?」


多分原因はみっちゃんとちゅーしたからだ。でもこれ言っていいかな?

そう思いつつあたしは顔をしかめるフリをした。仁王のハニーを何年勤めてきたと思ってんだ。あたしだってペテン的なことできるんだ。


「自分分かってんねんやろ。顔バレバレやで。」

「え?」

「なまえちゃんほんま分かり易いわ。で?原因なんなん?」


どうやらこのペテン的なやつは侑士くんには通じなかったみたいだ。侑士くん口固いし跡部と仲良いから言っちゃえ。


「帰りあたしと仁王が先降ろされてその後にみっちゃんやってん。でも2人は盛り上がり夜景を見に行き帰りの車でちゅーしてん。」

「ヤったん?ヤったん?」

「そんな目キラキラさせたらマジきもい。ヤってはないよ。でも夜景見ながらちゅーしてたら分かんないってみっちゃん言ってた。」

「カーセックスってわけか。あれは興奮するで。」

「そういう話しないでくれる?マジきもい。で、みっちゃんは跡部のことはフツーにイケメンの友達と思ってたんだけどちゅーして男として見てしまい戸惑い中。」

「もしかしたら跡部も戸惑ってるかもな。」

「そーだね。そしてみっちゃんはそれを確認するために跡部をデートに誘おうとしてます。」

「跡部から返事来たん?」

「跡部ってボーリング行ったことある?って聞いて誘う作戦。」

「何なんそれ。」

「跡部が放課後あたしらみたいにカラオケとかボーリングしてるの想像つかないって話になってそれを跡部に聞いてあわよくば放課後デート。」

「で、返事来たん?」

「きたきた。そのボーリング云々のLINEして話逸れた。」

「意味無いやん。」

「まぁね。そーだ、みっちゃん今日何してんのかな。」


みっちゃんに何してんの?ってLINEしてみた。すると直ぐに返事が来た。


「デートおおお?侑士くん!デート!」

「そんな言わんでも俺も今のやり取り見てたわ。」

「誰やろ。やっぱ跡部?」


跡部?って送ったら速攻スタンプでYESと返ってきた。そしてしばらくして詳しいことは帰ったら教えるねってきた。


「ちゃっかり2人遊んでるね?」

「遊んでるな。俺も明日学校で跡部に何かあったから聞いてみよ。」

「聞いて聞いて!それで教えて!」


久々月曜が楽しみになった!ワクワクしてるとお姉の方から大きな声で侑士くんを呼ぶのが聞こえた。


「お呼びやから行ってくるわ。」

「うん。てかなんでこっち来たの?」

「跡部のこともあるねんけど化粧に集中したいから出ていけ言われてん。」

「あーお姉は化粧のときは完璧を目指してるからね。」

「自分の彼女がいつも全力で美を追求してくれることはええこっちゃ。またなんかあったら連絡するわ。」

「おけ、じゃーねーん。」


侑士くんがお姉のとこに行ったので静かになった。ってことであたしは引き続き眉毛を抜くことにした。


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