教習所は学校よりも厳しい。学科っていう車とか標識とかを勉強する授業があるんだけど寝たりケータイいじってはいけない。当たり前なんだけど当たり前なんだけどつらい。約1時間座って勉強。多分小学校低学年ぶり。仁王もつらそうだ。技能は予約がスムーズに取れて通って3日目だが、4回乗った。
そして今日は跡部とみっちゃん、仁王とドライブ。あたしと仁王は大人しく後部座席でポッキーを食べている。さっき騒いでたら怒られた。んでこれでもくっとけって。餌付けってやつ?
「教習所通って車運転する人尊敬する。あたし免許取っても1人で運転するの怖い。先生のブレーキが必要だわさ。」
「分かるなり。俺も先生に委ねて車運転してる。」
「私あんたらの車乗りたくないわ。」
「俺も。あ、そこ左折。」
「おっけー!」
あたしもいつかはああいう風に運転できるのかなと考えてたらいつの間にか寝ていた。
「名字。起きんしゃい。」
「んーどこぉ?」
起きるとどっかの広い駐車場。家族連れやカップルなどがうじゃうじゃいる。
「ドライブでぐるぐるしよーって思ったんだけど完全ノープランだし?よく考えたら私ら運転はするけどドライブ目的の運転初めてで、どこをぐるぐるすればいいのか分からないからここへ来ちゃいました。」
ここ?ってどこやねん、それ聞いてんねんと思い外を見ると一発で分かった。だってみんなネズミーランドグッズ持ってるもん。
「ほら早く降りろ。」
「うん!やったー!」
あたし一気にハイテンション。慌てて車から降りた。
「ではしゅっぱーつ。」
チケット売り場の列めーちゃ並んでんじゃんと思ったら跡部の魔法でタダで入場。あら不思議。もうネズミーだ。とりあえず跡部家が出資している新しいアトラクションに乗ることにした。これも跡部の魔法で待ち時間300分が20分。
「何のアトラクション?あたし来るの初めてなの。」
「は?」
「え?」
「まじ?」
「マジマジ!」
遊園地とかはあるけど実はネズミーランド初めて。あたしが小さい頃のパパは最高潮にロッカーで尖っていた。ロッカーはネズミーランドとかふわふわしたとこには行かないと、言ってたらしい。だからパパとの写真は動物園の肉食獣と撮った写真ばっかだ。パパにとって肉食獣はロックらしい。
「あんたのパパさんかっこいいけどアホだね。」
「うん。でもあたしが生まれる前にママとここでデートしたらしいよ?バンド解散前で全盛期だったとき。」
「それはきっとママさんが頼んだんだよ。惚れた弱み。」
「パパから行こって言ったらしいよ。あたしが行きたいって言っても大人になったら男に連れてってもらえって。」
「お前ら中学から付き合ってんだろ?なんで行かなかったんだよ。」
「俺はいずれは行こうと思っとったんじゃけど名字にどこ行く?って聞いたらいっつもあそこの何とかが食べたいとか新しく日本にできたあの店行きたいとかしか言わんから興味ないと思っとった。」
そう言えばそうかも。仁王にどこ行くって聞かれたら食べ物かショッピングばっかだ。ネズミーランドに行くっていう発想が思いつかなかった。パパがネズミーは男に連れてってもらえ発言も今ふわっと思い出したし。
「あんたらやっぱどっか変わってるよね。あ、もうすぐ乗れる!」
20分待ちなんてあっという間。すぐに乗れる。みんなで話してたら本当にすぐだ。2人乗りのアトラクションでじゃんけんで決めたら跡部とだった。
「超叫んだ!楽しかったー!」
「やっぱ激しく動くのがいいなり。」
「2人とも楽しそうだね。」
「え?楽しくなかったの?」
「楽しかったけど跡部がずーっとここはこうなってんのかってアトラクションの性能ばっか見てるから。あたしお子ちゃまみたいに感じて。」
「俺が騒ぐの想像できるか?」
「できない。」
「だろ?ほら次行くぞ。」
そう行ってまた跡部家が出資しているアトラクションへ。跡部曰く跡部家が出資しているアトラクションだけすぐに乗れるらしい。
「跡部って元カノとどんなとこデートしてたの?」
「一応向こうの要望に答えてたがどこでもいいって言ったときはクルージングとか行ったぜ。」
「高校生の発言とは思えないよ。」
「そういうみっちゃんはどーなんだよ。」
「あたしは結構お寺とか行くの好きだからそっち系連れ回してた。高2のときの彼氏もお寺好きで日本史も詳しくて色々説明してくれて楽しかったなー」
「マザコン過ぎてキモいからって別れてたよね。」
「うるさい。」
みっちゃんの元カレ達は結構変わった人が多かった。見た目は普通そうなのに。そこからみっちゃんの元カレのマザコンエピソードが語られアトラクションに乗り込んだ。四人乗りでこれまたちょー楽しかった。
次は何に乗るかと思ったけどお腹が空いてきたので一旦休憩、ランチタイムにすることにした。
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bkm