05



今日は何の日、面接の日だ。指定校の。昨日学校で先生が面接の練習を軽くしてくれたから大丈夫。指定校の面接経験アリのお姉曰く「変なこと言わない限り落ちない。」らしい。その変なことが分からないのに。ブーブー言うと「普通に話せば大丈夫。無礼者以外は受け入れてくれる。」それだったら大丈夫かも?

受験?って久々だな。小学校の時以来かも。中学の時はテストしただけだし。小学校のときはまだ大阪で移動がめんどっちかったな。お姉は幼稚園の頃からお受験だったらしい。ママはあの頃はお受験ママに憧れてたらしくお姉には可哀想なことしちゃったなと言っていた。だから私は公立だったらしい。


「ハンカチは?」

「持った!」

「受験票は?」

「持った!」

「筆記用具は?」

「持った!」

「じゃあいってらっしゃい。」

「え?送ってくれないの?」

「大学行く練習。電車賃あげる。はい。帰りはパパが早かったら迎えに来てあげる。はーい頑張れー」


ママに無理やり追い出された。泣く泣く歩いて駅へ向かった。私がこれから行く大学は途中で乗り換えして直ぐの所だ。その乗り換えして乗る電車初めて乗るから緊張する。

電車に乗って、乗り換えする電車の時刻を調べ外を見ていた。ぼーっと車の数を数えていると真田からメールが来ていた。真田はガラケーだからLINEは知らない。線だと思ってる。多分。


(焦らず頑張れ)


仁王でさえこんな励ましメール来てないのに。感激。


(ありがと。がんばるね!)


送信ボタンを押して乗り換えする駅に着いた。違うホームへ移動するともう電車が着いていて慌てて乗った。ほっとしているとドアが閉まり出発進行。


「あ。」


幸村からLINEが来ていた。


(妹に彼氏できたかも)

(え?まじ?まじ?)


あの幸村妹にいよいよ彼女がでしたらしい。幸村ってあー見えてシスコンだからなぁ。まぁ幸村に似て幸村妹はまじで可愛い。だからお兄さんは心配になっちゃうらしい。


(遊びに行って帰る時間が最近遅い)

(彼氏どんな人?)

(さぁ?)

(え?まさかさー帰宅時間だけで彼氏の有無を察知してんの?)

(そうだけど)

(ちゃんと、本人に確認しなよ)

(こわいじゃん)

(こわくないよ。いずれ幸村妹も貫通するんだから)

(そんなこと言うなよ。落ちろ落ちろ落ちろ落ちろ)

(やめてよ幸村。不吉)


ふと外を見ると降りるはずの駅を通過していた。通過?慌てて隣に座っていた人に聞くとこの電車はあたしが本来乗る各駅停車の電車ではなく、急行の電車だった。

慌てて次に止まる電車を調べると大学がある駅から近い駅に止まるらしい。電車の時刻を調べると集合時間に十分間に合う。早めに家出ててよかった。

てかやっぱ幸村をいじめると不吉なこと起こるね。


「えーと、5階の504か。」


大学に無事に着くと色んな制服を着ているJKたちがチラホラ。可愛い子を探しつつ5階の指定された教室へ向かった。

教室の扉を開けるといかにも大学!って感じの大きな教室。自分の受験番号が書かれた席に着き辺りを見渡した。みんなあんまり知らない制服が多いかも。見たことあってもどこの高校か分かんないし。てかみんな隣の人とおしゃべりしてる。あたしもしたいな。集合時間はまだだしおしゃべりオッケーそうだ。

隣はどんな子だろうと横を向くとめちゃくちゃ美人で近寄りがたそう。近寄りがたそうとかそんなんじゃなくて怖い。ツンデレでいうツンツン。話しかけるの怖いな。でもそんなチキンだったら大学ではボッチ確定。勇気を振り絞って話しかけてみた。


「ねぇ、どこの高校?」

「氷帝だよーどこの高校?」


隣の人の顔に集中し過ぎて制服見てなかった。これはあたしも良く知る氷帝の制服だ。ブレザーいいな。


「立海ってとこなんだけど知ってる?」

「知ってる知ってる。神奈川県でしょ?友達の友達が立海でなんかよく聞くよ。」

「そうなんだ。あたしのお姉の彼氏が氷帝でよく話聞くよ。1人の女教師が氷帝中男性教師を食ってるって。」

「それマイナーだけど私らの周りでは有名な話!!!そのお姉ちゃんの彼氏って誰?一個上?」

「お姉の彼氏年下であたしらとタメ。忍足侑士って言うんだけど知ってたりする?」

「え?忍足?知ってるてか同じクラスだしさっき言ってた立海に友達がいる友達が忍足!」

「まじ?近い近い。じゃあ跡部は?」

「跡部も知ってる!」

「案外あたしら近いね。」

「まじそれ!」


その後自己紹介するのを忘れてたのを思い出し改めて自己紹介。怖そうな美人さんの名前は山咲百英ちゃん。萌ーのもえじゃなくて百のもえだからこれまたクールだ。しかし本人はもっぴーと読んでほしいらしいのでもっぴーと呼ぶことにした。

いつのまにか集合時間になっていて、係の人が入ってきて面接の説明をし始めた。説明を終え受験番号が呼ばれるまで静かに待ってくださいと言われ教室は時計の秒針の音が聞こえるくらい静かになった。

辺りを見渡すとみんな何か見てる。目を凝らして見ると面接マニュアルと書かれたプリントとか面接の心得と書かれたプリントを読んでる。多分学校から配布されたプリントっぽい。うちんとこ何もくれなかったよ。まぁうちの学校で指定校て珍しいもんね。

しばらくしてあたしの番号が呼ばれた。あたしの番号は072。不吉な数字じゃないし、ラッキーセブンがあるってルンルンだったけど、仁王にオナニーと言われて一気にこの数字が嫌いになってしまった。






















「ふぅ。」


無事に面接終了。当たり障りもないこと聞いてくれてよかった。

教室へ戻るとどうやら面接が終わった人から帰っていいようだ。帰る準備をしていると面接を終えたもっぴーが帰ってきた。


「一緒に帰ろー」

「いいよいよ!あたしもそれ言うとこだったし!」


もっぴーと楽しくおしゃべりしながら大学の門をくぐった。今は新鮮だけど来年の今頃は当たり前になるのかな。


「あれ?」

「なまえどうしたの?」


門の前に見慣れた車と車のナンバー、そして乗ってる人たち。


「両親が迎えに来てたみたい。あたし行きの電車間違えたから多分心配して帰りは迎えに来たのかも。」

「よく間に合ったね。」

「まじそれ。あの時は死ぬかと思った。」


ママが車から降りてきてあたしたちのとこに走ってきた。


「面接お疲れーあ、友達できたの?」

「うん、もっぴー。」

「山咲百英です。」

「もっぴーちゃんね?よろしく、なまえのママです。」

「パパの仕事早く終わったんだね。」

「違うわよ!あんたが電車乗り間違えたからパパが心配して迎えに来てくれたの!」

「心配性だなぁ。」

「どーでもいいときだったらどーでもいいけどあんたの将来かかってんのよ。あ、もっぴーちゃんも乗ってって?送ってあげる。」

「あ、でもあたし東京ですよ?」

「いいのいいの、この後旦那を仕事場まで送るから。」


そう言って車の方まで歩き後部座席のドアを開けてくれた。


「え?もっぴー?」

「忍足ぃ?!」

「侑士くん乗ってたんだ。」


なんと侑士くんが車に乗ってた。我が家では当たり前にならつつあるこの光景だけどよく考えたら珍しいよね。


「え?侑士くんともっぴー知り合いなの?」

「そうなんですよー俺ともっぴー同んなじクラスやねん。跡部も。」

「あ、譲くん!なまえもう友達できたの!もっぴーちゃんよ!」


ママがパパの肩をバシバシ叩きパパの顔を掴んで無理やり後ろにもっぴーの方へ向かせた。

パパともっぴーの挨拶が終わり出発。共通の友人の侑士くんがいるため楽しくおしゃべりができた。

跡部とみっちゃんの話をすこーし聞きたかったけど無理だった。まぁあたしが出る幕ではないか。


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