05


「ごちになりましたー!」

「あいよー!」


先日の体育祭でみっちゃんにランチを奢ると約束したので奢った。体育祭はクラス全員リレーは本戦に進み得点もぐんぐんあげたが総合得点は4位という一応輝かしい順位だった。赤団では無事に優勝でみっちゃんは御満悦。家に帰って何で赤団で玉入れしなかったのと問いただすと「赤ってなんか定番だから。」忘れたじゃなかったんだと飽きれてしまった。


「まだ体育祭の筋肉痛治んないや。」

「あたしもだよ。転んだところは痛いの治ったけど。」

「青タンできてたもんね。」

「うん。ちょー痛かった。」

「仁王に抱えられて退場してたのクラスで爆笑したわ。」

「やめてよ恥ずかしい。」

「泣き声うるさいし。」

「ああああ!恥ずかしい!」


その後も買い物しながらみっちゃんにずーっといじられまくって大変だった。仕返ししたかったけどみっちゃんは手強い。おバカさんなのに!


「買った買った!新作で欲しかったやつ残っててよかったー」

「ラス1だったもんね。マネキン脱がせてもらったからガチっぽいよね。」

「そうだ。今日うちくる?パパも仕事だしお姉バイトなのに晩御飯ちゃんこ鍋なの。ママがみっちゃん暇なら誘っといでって。」

「いいの?みっちゃん行く行く。」

「お泊まりしちゃう?」

「しちゃうしちゃう。今日買った服でファッションショーしよ。」

「やったー!土曜日に約束しといてよかった!」

「本当だよ!」

「じゃあ行こっか。」


みっちゃんお泊まり決定。ちょくちょくみっちゃんはうちに泊まりにくるんです。だからみっちゃんのパジャマとブラにパンツ、歯ブラシバスタオルは常備されてる。


「相変わらず広いマンションだね。」

「でもみっちゃんちみたいな一戸建て憧れる。お庭うらやま。」

「隣の芝生は青い現象だね。」

「ね。」


マンションに着きエレベーターに乗ってわが家へ玄関に入ると大きな靴が沢山。


「お客さん?」

「みたいだね。まぁどうせ顔見知りだと思うから入ろ。」


部屋に荷物を置きリビングへ行くとソファーに座ってるママの顔がデレデレ。ママの顔をデレデレにさせてるお客さんは跡部と仁王だった。


「あーおかえりー!まーくんと景吾くん来てるわよ。」

「よ。」

「よう、久しぶりだなぁ。」


仁王はさて置き、跡部よ。侑士くんとセットなら分かるけどとうとう跡部単品で来やがった。しかもママは景吾くんって呼んでるし。


「お土産にクッキーいただいたから。あ!紅茶出すね!みっちゃんも座って座って!」


紅茶を淹れにキッチンへ向かったママに急かされあたしたちもソファーに座った。


「侑士くんは?」

「忍足なら今日は来ねえぜ。」

「そーなの。てかなんでここにいるの。」

「たまたま買い物してた仁王と会ってお茶してたらお前のお母さんに会ってここにいる。」

「勢いがあるとしか言いようがない。」

「ちょっちょっなまえ。」


みっちゃんが小さい声てあたしを呼んだ。なんやなんやと思ったらみっちゃんは跡部があまりにもイケメンすぎて緊張しているらしい。かわいいやつめ。まぁ慣れしかないよとアドバイスしといた。


「あ、聞いて聞いて。来月号俺出る。」


そう言って仁王が雑誌を渡してきた。どこの雑誌か教えてもらうの忘れてたけど知ってる雑誌だった。そりゃたなじゅんと仕事できるわ。見ようとしたら仁王に止められ「後で見て」とのこと。理由は恥ずかしいから。じゃあ今渡すなよとみっちゃんがツッコんだ。跡部も同感みたいだ。


「はーい紅茶。ミルクとお砂糖置いとくね。」


紅茶を淹れに行ってたママが戻ってきた。


「そーいや名字、忍足から伝言。あの幼稚舎の先生が次は高校の先生に乗り換えたって。何の話だ?」

「え?本当なの景吾くん!」

「やば!やばいよ!」

「みっちゃんにも分かりやすく教えろ。」

「まーくんにも。」

「なんか氷帝の幼稚舎の女の先生がね、氷帝内の先生ばっかり付き合ってるんだって。コロコロ変えるの。言って今で3人目だけどね。」

「その先生凄いわ。立海はないもんね、そんなスキャンダル。」

「そうだよねー乙女はスキャンダラスなら出来事が大好物なのに。」

「乙女ならそんな話ししねぇだろ。」

「するよ。跡部は乙女じゃないから分からないんだよ。この世の乙女は頭の中クッキーとかフワフワだけで成り立ってるわけじゃないんだよ。」

「あ、そうだ。景吾くんも晩御飯食べてって。まーくんは食べるでしょ。」

「はい、ありがとうごさいます。」

「プリッ。」

「今日はお鍋だから沢山食べてねー」

「鍋って家でできるのか?」


跡部がポツリとビッグな発言。あたしらビックリ。


「ああ、跡部ってそんなにおぼっちゃまだったんだ。」

「跡部くんすごいわ。みっちゃんびっくり。」

「そんな驚くことねぇだろ。」

「いや、庶民は驚くよ。」


みっちゃんもそうだそうだと首が取れそうなくらい頭をブンブンと縦に振っている。


「頭振りすぎて頭クラクラだ。」

「みっちゃんおバカさんぜよ。」

「うるせー仁王。お前の出てるページのとこ切り裂くぞ。」

「怖いなり。助けてなまえちゃん。」

「ぶりっ子するなああああ。」

「お前らうるせーぞ。」


ピーチクパーチク騒いでると跡部は溜め息をつきながらあたし達を哀れみの目で見てきた。


「てかさ、跡部くん彼女いないの?」

「あたしも気になる。いるの?」

「いねぇけど。」

「いつからいないの?」

「あーもうすぐで1年?」

「何で疑問形なんよ。」

「この時期に別れたから1年経ったっけって。」

「あーね。タメ?」

「ああ。」

「跡部くんってワガママ娘と付き合いそう。」

「あーなんかそれ分かる!跡部ってなんやかんやで優しそう。しょーがねぇなぁって。」

「当たってるでしよ?ね?ね?」


みっちゃんが身を乗り出して跡部に問いただすとボソッとそうだよと言った。


「やっぱねー!」

「あ。」


仁王が急に立ち上がった。どうしたんだ。


「風呂洗うの忘れてた。ちょっと洗ってくるなり。」

「風呂?」

「おん。姉ちゃんに怒られるなり。じゃっ。」

「あー仁王行っちゃった。」

「仁王ってさ、たまーに生活感満載だよね。普段は生活感なさそうなのに。」

「んーそうかな。んーそうかも。引越しする前はそんなにお互いの家行き来しなかったから普段家で何してるんだろって思った。」

「で、引越ししてからは生活感プンプンってか。」

「うん。そう!そう!やっぱ仁王も人間だ!って思った。」


「なまえー!」


キッチンからママが叫んだ。叫ばなくてもいいのに。やれやれと思いながらキッチンに行くと焦ったママの顔。


「どうしたの?」

「ママ、エリンギ買うの忘れてた。なまえ好きでしょ?」

「ええ!」


愛娘が愛するエリンギを買い忘れるなんて。


「食べたいでしょ?」

「うん。」

「じゃあ買ってきて。」

「えええっ。」


久々におつかい決定。500円玉を握りしめあたしはスーパーへ向かった。


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