03



クラス全員が出場するリレーの予選が終わりランチタイム。あたしらが出たレースでは1位だったけどあのリレーはタイムで決まるからまだ本戦に出れるかは分からない。ドキドキしながらランチタイムだ。


「なまえのお弁当すごい。子どもが好きなやつ詰めた感たっぷり。サッカーボールのおにぎりとか気合い入ってるね。」

「でしょ?人生最後の体育祭だからね。」

「てかあんたテニス部なのにね。サッカーボールって。」

「テニスボールのおにぎり難しいじゃん。」

「まぁね。考えたらそうだわ。」


みっちゃんとあーだこーだ言いながらお弁当を食べてると丸井が偉そうにやってきた。


「おい。食べ終わったら5番出口集合な。部活対抗リレーの打ち合わせするからよい。じゃ。」

「引退したのに出るの?」

「今年から盛り上がるからって学年別になったの。」

「へーそうなんだ。頑張ってね。応援するから。」

「みっちゃんそのつもりないでしょ。顔が眠たそうだ。」

「んなことはない!それが終わったら応援合戦だから!」

「ああ、そんなのあったね。食べ終わったから行ってくる。」


丸井達がいる5番出口へ向かった。久々テニス部全員揃ったかも。


「名字遅い。お前2番目走ることなったから。」

「え?あたし出るの?」

「今年からマネージャー1人出るってなったんだよ?知らなかった?」


幸村のとんでも発言にあたしはガビーンて感じ。お弁当食べたのに走ったらお腹痛くなるからいやだなー


「名字!そんな顔するな!テニス部はいかなる時でも全力を尽くすのだ!」


真田に喝を入れられ顔だけはやる気を出させた内心いやでいやで仕方ない。

リレーの順番はまずはジャッカル。次にあたしでその次は柳で真田でラストは幸村。てっきりみんな走るのかと思ってた。


「そろそろ行こうか。」


入場門へ向かうと2年の部活対抗リレーが始まっていた。そして入場門付近は色んな部活の奴らでごった返している。ってかみんなユニフォーム着てその部活の道具を何かしら持ってる。テニス部は着てないし持ってない。なーぜー。


「幸村が皆に伝えることを忘れていた率99.8%。」

「ごめん。忘れてた。でもラケットは1年から借りたし大丈夫!」


こんなので大丈夫なのかと不安を抱きながらあたしたちは入場門をくぐった。部活紹介のアナウンスで「あの最強のクラス3-Cを支配する男が部長だったテニス部。」とか強そうに紹介されてたけど「しかし本日は全員ユニフォームを忘れて体操服でこの部活対抗リレーに挑みます。」と言われて一気に弱そうになった。これは勝つしかない。


「よーい。スタート。」





















結果は知らん。なぜかというと最初のジャッカルはよかったんじゃが途中の名字でバトンがポーンと飛んで行きそのバトンに自分で躓き派手に転けた。そして名字あまりの痛さに号泣。泣きながら残り3分の1を歩く。歩き終えた名字は真田に怒られさらに号泣。幸村にこいつうるさいからどっか連れてってと言われて名字を抱えて退場。救護室でアイシングしてもらい廊下で慰めなう。


「痛い痛い。でも恥ずかしい。ううううっ。」

「ほれ泣き止みんしゃい。痛い痛いの飛んでけー」

「そんなんで痛いの治ったら医者なんかいらないのーでも痛いより恥ずかしい。あたしのファンだっていたはずなのに。こんな、惨めなあたしを見せてしまった。」


そう言って俺の胸で更に泣きはじめた。ぎゅーっと抱き付いてかわええがうるさい。そんでたまに回した手で背中の骨をグリグリして少し痛い。

てかあいつにファンなんかおったんかのぅ。子分ぽいのならテニス部の後輩マネージャーが数人いたが。


「仁王。名字泣き止んだ?って言おうと思ったけどまだ泣いてるね。」


リレーを終えた幸村がやってきた。他の奴らはと聞けば応援合戦に出るらしくこの後しばらく予定がない幸村だけここに来たらしい。


「ゆぎむらー!ごめんなさああああい。こんな女で。カラダだけはだめぇーー!」

「心配しなくても俺はお前をそんな目で見てないし、1位だったよ。」

「は?」


幸村の一言で名字は泣き止んだ。すごい。てかドベから1位もすごい。


「あの後野球部柔道部転んで真田が雄叫び上げながら走ったから前走ってたやつら後ろ向いちゃってさーその時の真田の顔がエグくて固まっちゃって。慌てて走ったんだけど真田に抜かされてあっという間にテニス部1位に。俺はスキップしながらゴール。」

なんという強運の持ち主なんじゃテニス部。1位になっても1位になった気がしないぜよ。


「よかった。1位。1位だよにおおおおおっ。」


名字は先ほどの痛み恥ずかしさの涙ではなく感極まって泣いてしまった。こいつ今涙腺ゆるゆるやから何やってもないてしまう。

かわええがうるさい。顔で乳首潰してきて地味に痛い。


「顔洗って客席に戻ろう。言ってる間に台風の目だし。」

「うん。洗ってくる!」


名字は泣き止み立ち上がった。勢いよく立ったからか立ちくらみしとってフラフラしながらお手洗いに向かってった。


「はぁーやっとお姫様のメンタル回復させれた。あいつ泣くと本当やっかい。あれで将来酒飲ませたら泣くパターンなら最悪だよ。」

「そうじゃのぅ。でもあいつのお姉とか親とかは酒強いから多分ならんじゃろ。そう願っとく。」

「あっ戻ってきた。」

「ただいまー客席戻ろーぜ。」

「さっきまでピーピー泣いとったのに。」

「うっさい!いいから戻る!」


あーこのお姫様のご機嫌取りはほんと大変なり。


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