04



「ほれ、丸井、お前さんの好きなグリーンアップルのガムじゃよ。」

「丸井の好きなF組のカオリちゃんの写メだよ。ブレてるけど。」

「丸井の好きなRinoのAVだぜ。しかも新作。」

「仁王はサンキュー。#名字#とあっきー!2人だけの秘密の話を喋るんじゃねぇ!!!だがそれはもらう。」


昼休み、丸井は「幸村くんゴメン!」と言って幸村の乳首を抓った。C組で。そして丸井は逃げた。あのC組でさえ幸村の乳首を抓ろうという発想はなかったらしい。てか誰もしないよ。乳首を抓られた幸村は少しダメージを受けた顔をしながら隠れて見ていたあたしたちを睨んで丸井を追いかけた。チーターみたいに凄いスピードで追い掛けてった。

5限目のチャイムが鳴って少ししてから丸井が泣きながら乳首を抑えて帰ってきた。先生は遅刻してきた丸井を怒らず哀れんだ目で見ながら授業を進めた。休み時間になってどこから聞いたのか空気が読めないリア充赤也が彼女と一緒に丸井の所へ来て「幸村部長の乳首抓ったらしいっすね!!」と茶化しに来た。丸井は無言で赤也の両乳首を抓って、2人を教室から追い出した。

そして放課後。あたしと仁王とあっきーは一応友達なので丸井を慰めている。後の奴らはバイト。丸井は「あいつらひでぇ。」とか言ってるけど元はと言えば丸井が言い出しっぺだからしょうがないと思う。天敵幸村、打倒幸村だけど今回は幸村が可哀想だと思う。


「疲れた。帰ろ。仁王。」

「おん。あっきーは?」

「あー俺も帰る。」

「は?お前ら帰るのかよ!俺を慰めるんじゃねぇのかよ!」

「もー充分慰めたじゃろ。」


そーだ、そーだ。仁王の言う通り。慰めるのしんどいよ。ただ丸井を見てさ、慰めの言葉とか出ないし。


「おい、丸井、今日5限の現社遅刻したらしいな!罰として手伝え。」

「え?」

「おーよかったじゃん。先生に慰めてもらえ。」

「丸井失恋したのか?聞くぞ。」

「やー解決解決。ってことであたしら帰るねバイバイ。」


丸井は居残り決定。先生に慰め係をバトンタッチ。仁王とあっきーと丸井をおいてホイホイ帰った。裏切者とか聞こえたけど知らない。


「はー何しよ。」

「お腹すいたなり。」

「そんなん言うからすいた。」

「じゃあ俺の彼女のバイト先で食う?俺今から行くんだけど。」

「行く行く!ね!仁王!」

「ええけどどこじゃ?」

「今流行りのパンケーキ。」

「パンケーキ!決まり!」

「えー俺、朝ごはんパンケーキじゃった。」

「知るか!行くよ!」


あっきーに案内されたパンケーキは最近オープンして大行列で美味しいと噂の店だった。ハワイにもあるらしい。


「あー行列。そして1時間待ち。3人で何しよっか?おしゃべり?」

「それしかねーだろ。」

「てかこの3人って珍しいよね。」

「あーそうじゃな。」

「あっきーの彼女ってどの子?」

「んー後で教えるよ。」

「楽しみ。どこの高校?出会いは?どっちから告ったの?」


仁王は最近ハマってるツムツムをずっとしていて会話に入ってこないからあっきーに質問攻め。多分いまなら誰よりもあっきーを知ってるかもってくらい。


「お次のお客様どうぞー」


案内されて店に入るとハワイアン!ではなく普通に可愛らしいお店。店内は女子ばっかだ。


「あっきー、お前さんここ1人で入るつもりじゃったんか?」

「今日初めてここに来た。お前らと来てよかった。」

「あれ?あきくん!」


馴れ馴れしい店員さんだなーと思ったら写メで見たことのある顔。あっきーの彼女さんだった。実物のが可愛いじゃん。


「よ!来ちゃった。注文いい?」

「うん。」


来ちゃった、だって。あのあっきーがちゃった、だって。ぷぷぷのぷ。


「俺一皿食べれん。」

「は?今更?仁王ったら。」

「俺も無理そうだから分けよーぜ。どれオススメ?」

「んー二人とも甘いの苦手?っか。だったらーこのオムレツは?これパンケーキかマッシュポテトかライスか選べるの。」

「おっこれいいじゃん。仁王どれがいい?」

「野菜ないやつ。」

「じゃあこのチーズとバジルのやつでパンケーキで。」

「はーい。」

「あたしこのイチゴとホイップのワッフルで!」

「お前ここまできてワッフルかよ!」

「ワッフル食べたかったからいいじゃん。パンケーキ一口もらうね。」

「結構ワッフルも多いよ、ここ。」

「ほら!彼女さんだって言ってんじゃん。」

「へいへい。ドリンクは?俺はアイスコーヒー。仁王と名字は?」

「あたしグァバジュース。仁王は?」

「んーコーラ。」

「かしこまりましたー!また来るね。」

「おう!」


あっきーの彼女さんさっきよりもルンルンだ。そりゃクソ忙しいバイトの時にイケメンの彼氏が来たらハッピーになるだろね。


「バイトどこにしよっかなー」

「は?」

「今決めんの?」

「だってこういう時間を有効に使わないと。」


早速、バイト、高校生でググってみた。そしたら出るわ出るわでどれにしようか迷う。


「何系?」

「んーなんだろ。高校生って限られるよね。家から近いのがいいなー」

「コンビニ?かカラオケにファミレス?」

「あーね。なんか面倒だからまた今度にする。」


しばらくしてオムレツとパンケーキとワッフルのご登場。ワッフルはそとがかりっとして中がふわっとしていて美味しい。オムレツもすこしもらった。これもおいしい。おしゃれに洋風のミルクを入れたオムレツ作りたいけどこれみたいに美味しくならないんだよね。ってか物足りなくて醤油入れちゃう。日本人だからかな?これは醤油なくてもおいしい。ああ、あたしの力量か。


「ごちそーさま。」

「は?お前、もうごちそうさまかよ。半分も食ってねぇじゃん。お腹すいた言ってただろ。」

「胃袋のデカさが違うぜよ。」


仁王はそう言ってコーラをちゅーと吸った。多分コーラでお腹膨れた気がする。あっきーはブツブツいいながら頑張ってオムレツとパンケーキを平らげた。あたしもワッフルをぺろりと平らげた。


「店出ますか。彼女さん何時に上がるの?」

「んー9時だって。」

「あと20分くらいか。」

「丸井を慰めててここに着いたん6時頃じゃったし時間経つの早いのう。彼女のこと待っとくんか?」

「おう!そのつもり。」

「じゃあお金置いとくね?」


仁王の分と2千円置いて店を出た。外はやっぱ肌寒い。あんたげお昼は暑かったのにね。段々冬が近づいているんだ。ひょえ。


「あ、お金。さっきの。」

「いいよ。最近仁王にご馳走なってるからたまにはね?」

「珍しい。」

「珍しいって何よ。いっつも仁王がサラリと出すからだよ。あたし今日は頑張ったんだよ。」

「ほぉ。そりゃごくろーさん。ごちそうさまなり。」


ぐしゃぐしゃと頭を撫でられて肩を引き寄せられた。仁王が近くなってひっついて、すこし温かくなった。あたしも仁王の肩に頑張って手をまわした。そしたら「そこは腰じゃろ。」って言われたけど今日は肩の気分。仁王はあたしとの身長差を埋めるために腰を少し曲げて辛そう。でもなんだか楽しいからこのまま帰ろう。ちょっと、我慢してね、雅治くん。


prev next
bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -