02


「んー!おいしい!」

「じゃろ。こないだ姉ちゃんが教えてくれた。お前が好きそうな店見つけたって。」

「お姉様ありがたやー」


仁王が連れてきたお店はピザ専門店。ピザ1枚が大きくて生地が薄くてパリパリしていて美味しい。そして海が見えて雰囲気が良いです。


「あっという間に1枚食べれちゃう。次どのピザ頼む?」

「なあ、俺やっぱモデルの仕事すんの辞めようかと思う。」

「え?」


さっきまでヘラヘラしていた仁王が急に険しい顔して話を持ちかけてきた。


「まだ一週間しかしとらんけど名字といる時間減るし。俺がモデル?とか思うし。辞めようかと。」

「仕事は楽しいの?」

「まぁ、慣れてきたし。色んな服着れるのは楽しい。あと知らん自分が見れておもしろい。」

「仕事の内容が自分に合わなかったら辞めても構わないけどさ、おもしろいと思うんだったら辞めないでほしいな。」

「本当?」

「うん。あたしだって指定校の面接が終わったらバイトしようと思うし。休みの日合わしてその日のために頑張って働いて少しいいお店でディナーしちゃったり?今のうちにやりたいことやっとかないと後悔するよ。」


ママが言ってたことなんだけどね。学生のうちにやりたいことやらないと社会人になって後悔するって。人生の中で自由な時間は学生の時!そして若いから寝ないでも大丈夫!学生だったら何したって許される!と言っていた。何したってってのは少し分からないけど。


「ありがと。まーくん頑張るぜよ。」

「おんおん。がんばれ。何かこないだのあたしの進路相談みたいだね。」

「あれは俺が答えんでも勝手に解決しとった。」

「えーでも1人で解決するよりは誰かに聞いてもらった方が何かいいじゃん。」

「んーまぁそうじゃな。」

「でしょ。あ!注文するね。」


次に注文したピザもおいしくて来てよかったと思った。色んな意味でね。そして仁王のお姉様はアタクシのことを分かっていらっしゃる。


「本日2回目のスタバですか。」

「プリッ。」


店を出て砂浜行ってボーッとしようとなった。夕方はまだ少し暑かったけど夜寒い。スタバでホットコーヒーを買って飲みながら真っ暗な海を見てるなう。月が真っ暗な海を照らして神秘的でなんか少し怖い。


「なんか幸せだねー」

「学校行きたくないなり。」

「温かいコーヒー飲んでるから余計に幸せ。」

「こっちくる?」

「うん!」


仁王が自分の足の間をポンポンと叩いて合図してきた。コーヒーが零れないようにゆっくり立って仁王の足の間におっちん。そして仁王の胸に背もたれ。筋肉で固い。


「あー幸せ。帰りたくない。」

「ホテル?」

「違う。ずーっとここにいたい。」

「ホテルもええけどこれもええ。」


そう言って甘ったるいキャラメルマキアートをふぅふぅして飲む仁王。仁王って見た目クールなのに野菜嫌いだしプリプリ言うしブラックコーヒー飲めないしギャップの塊だ。


「何かね今日ね、仁王がさ、女の子に雅治って呼ばれてヤキモチ妬いた。」

「おん。」

「でもね、あたしはまだ仁王のこと名前で呼べない。恥ずかしくて。」

「俺もそうかも。なんか恥ずかしいなり。こんなことなら付き合ったときに呼び方変えればよかった。」

「あたしもそれ思った!でもこれがあたしたちなんだよ。」

「ゆっくり変化していけばよか。てかヤキモチ妬いてたとか。心配するな、あいつはレズじゃ。」


ちゅっ。あ、ツムジにチューされた。それよりも、


「え?えみりちゃん?レズなの。」

「おん。お前さんの写メ見せたらなんか興奮しとってとられたらどーしようかと思ったなり。」

「なーんだ。よかったー!」

「俺はよくないなり。」

「大丈夫。あたしは仁王だから。」

「信頼しとくぜよ。」


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