最近、お姉が靴の裏が赤いで有名なあのブランドのハイヒールを買った。しかしそれを穿いて出かけたことはまだないらしい。ママがお姉に内緒でそれをはいてパパとデートしてるのは見たことあるけど。
お姉に何ではかないのか聞いたら、まだそれに見合う女ではなかったかららしい。じゃあなんで買ったのか聞いたらあの時ははきたいから買ったんだと言った。分からないようで分かるかも。
実はお姉には内緒だけど1人のときにそのハイヒールをはいてみたの。さすが高いだけあってあたしが持ってるハイヒールよりもはき心地がとっても良い。鏡で見てみたら幼稚園くらいの時にママのハイヒールをはいたときみたいな感じだった。似合わないし、私このハイヒールをはいて頑張ってますって感じ?きっと街中であたしがこのハイヒールをはいていても誰もこれがホンモノのあのブランドとは思わないんだろうなってなって悲しくなった。
きっとお姉もこうなったんだと思う。
「最近まーくんと遊んでないじゃん。」
「ほんまや。なんでなん?」
学校終わって家でママと侑士くんとティータイム。侑士くんはこれからお姉とデートらしい。肝心のお姉はまだ大学でお勉強。
「あ!最近まーくんモデルのお仕事始めたからでしょ?」
「え?まじで?そーなん?」
「そーだよ。今日も昨日も雑誌の撮影。」
あれから仁王は雑誌に呼ばれるようになったんだ。まだその雑誌は発売されてないから有名人ではないけどあたしが好きなたなじゅんとも撮影をしたらしい。
「さみしーなー今まで毎日一緒やったのに。」
「クラス一緒だから毎日会ってるよ。」
「でもやっぱさみしいでしょ?ママはーそういうときはーエッチで満たすかな?もちろんパパとだよ?」
「それは聞きたくなかった。」
「いくら美人なママさんの話でもそれは俺も聞きたくなかったわ。」
「えー?」
2人の前では強がってみせてたけど実はさみしい。仁王はあたしのこと好きだと分かってるけどやっぱ女のモデルだっているし恋人設定で撮影とかあるかもだしモヤモヤする。
いちいち今日は誰とどこでどんな撮影してたかとか聞いたらウザいよね。あたしだったらウザいもん。ママとかパパに今日は誰と何したとか聞かれたらたまにウザいとか思っちゃうもん。
でも、仁王だったら?大好きな仁王だってらどーなんだろ。聞かれたことないから分かんないや。
「そーや。今度跡部の誕生日パーティー来るんやっけ?」
「うん。仁王と行くよ?」
「立海で他誰か誘われてるん?」
「多分ー真田と幸村かな?」
「跡部くん?誰それ!ママにも教えて。」
「俺んとこの学校の友達でー」
侑士くんがママに跡部という男の説明をしている。ママは目をキラキラさせている。ふとケータイを見ると仁王からLINEが着てた。
(撮影終わった。どっかメシ食いに行かん?)
仁王からのお誘いLINE!うきうきしながらオッケー!っと返してお着替えだ!
「侑士くん。跡部くんかっこいいわね。1番はパパだけど。今度跡部くん連れてきて?」
「ええで!まかせとき!なまえちゃんどこ行くん?」
「仁王と晩御飯食べてくるから!跡部は家に呼ばないでね!」
「ええーこの話はあんたが帰宅してからね。早く着替えてらっしゃい。」
「うん!」
自分の部屋ではなくお姉の部屋に直行。クローゼットを開けてご拝借。
そういえばモデル仲間とカフェでお茶しとくから慌てないでいいとか言ってたな。転けるからとか無駄なことも言ってたけど。
てかどんな格好しよ。もしモデル仲間に会うとして、可愛い感じ?大人な感じ?なんでこういう時に限ってお姉はおらんのだ。
ハイウェストのショーパンにおへそがチラリと見えそうなタイトなトップス。夜は冷えるかもしれんのでサマーカーディガン。くっくはショートブーツ。
可愛いでも大人でもないカジュアル。悩んだ時はカジュアル。
電車に乗って仁王がいる駅についた。どこにいるか分からんのでお電話。
「もしもし?」
(ついた?)
「うん。どこ?」
(駅?)
「うん。」
(西出口のそばにあるスタバじゃ。西出口?)
「あー西出口。向かうね。」
(待っとる。)
「じゃ。」
仁王のいるスタバに到着。どこにいるか聞いてないから1人1人の顔を見ながら捜索。奥まで行ってもおらず。どこ?と来た道を戻ると入り口付近にいた。仁王と容姿端麗ボーイが1人、ふわふわガールが1人。その2人は名前は知らないけど雑誌で見たことあるやつだ。
「入ったの見えたんだったら呼んでよ。」
「面白かったから見てたなり。」
「ひどっ。」
「まぁ座りんしゃい。アイスコーヒーとスコーン買っといたなり。」
「わ!仁王ありがと!」
「彼女の名字じゃ。」
「名字なまえです。」
席に座って自己紹介。仁王に彼女て言われるの少し照れるや。アレルヤ。
「私は花岡えみりです。」
「俺は小西譲治です。」
あ、名前聞いたら思い出した。小西譲治はパパと漢字は違うけど名前一緒だとか思ってた。
「店19時に予約したけぇそれ飲んで食って行くぜよ。」
「うん。わかった。いただきまーす。」
あたしがすきなアイスコーヒーにスコーン。これを用意してくれる仁王素晴らしい。喉乾いてたからもう1/3飲んじゃった。
「雅治ってフラフラして彼女とかいないと思ってたけど彼女いるしアイスコーヒー用意してるびっくり。」
「そのギャップがええやろ?」
「自分で言うなよ!」
まっ雅治ぅっ?!雅治?あたしでさえ雅治と呼んでないのにこの女はえみりちゃんは雅治と呼んでる。知り合って間もないのに。ま、あたしが雅治って呼ばないからね。その気になれば呼べるはず。
てか3人でベラベラ話しやがってあたしも入れろやい。ま、その気になれば話に入れるけどね。今は餌付けされてるからね。スコーン食べないと。
「じょーじ!私たちもついて行こうよ!4人でご飯食べよ?なまえちゃんとも話したいし。」
「2人の邪魔しちゃいけねぇだろ。久々のデートって言ってるし。」
「ぶー」
「そーじゃ。邪魔すんな。」
えみりって女はなんなんだ。4人でご飯?またあたしが空気になるじゃん。ま、その気になれば話に入れるけどね。
「そろそろ行くか。」
「もう?」
「ちょっと歩くし迷うかもしれんから。」
「オッケー」
「えーもう行っちゃうの?」
えみりちゃんとやらはブーブー言ってるけどあたしは好都合だ。何が嫌か分からないけど何か嫌だ。女の勘とやらだ。
一口だけ残ってたスコーンを仁王の口に突っ込んでアイスコーヒーをジューっと吸って空にして出る準備オッケー
「急に突っ込まんでほしいなり。ゲロ甘ー」
「なまえちゃん最高。いい写メ撮れた。」
譲治くんは仁王が嫌そうにスコーンを食べてる姿を写メって満足そう。えみりちゃんはさみしそうな顔。
「じゃっ。」
「バイバーイ。」
「バイバーイ。雅治、LINEするね?あ、なまえちゃんもバイバーイ?」
「バイバイ。」
もって何だよ。ついでかよ。てかLINE??あーやだやだ。てかさっきえみりちゃんが仁王を見る目が雌だった。あーやだやだ。
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bkm