05


「今家誰もおらんから絶対部屋暑いなり。」

「右に同じく。」


学校から帰ってきて家に帰らずマンションのフロントのソファで仁王とダラダラ。マンション内は冷房が効いていて動きたくない。秋なのに。


「あ、チビとまーくん。お前ら何してんの。」

「あ、パパ。」


キャップをかぶってサングラスで決めているパパだった。パパは今日もイケメン。


「今から仕事。雑誌のインタビューとちょこちょこ。」

「ふーん。あたしたちは暑いからここでダラダラしてた。」

「2人とも暇だったら着いて来る?」

「行く行く!ね!仁王!」

「行くぜよ。リリーちゃんいるかのう。」

「仁王相変わらずリリーちゃん好きだね。たなじゅんいるかな?」

「あんまり期待しないほうがいいよ。ほら立って行くよー」


外に出るとマネージャーさんが車に乗って待っててなぜか仁王が助手席に座りパパと後部座席に座った。

15分くらいしたらスタジオについてあたしと仁王は撮影する部屋にあるイスに座らされお茶菓子を堪能。パパはメイク室。


「新発売のお菓子があるところが素晴らしいや。」

「マーブルチョコ食べたかったなり。」

「マーブルチョコはガキンチョが食べるお菓子だよ。」

「マーブルチョコ好きのティーンエイジャーに謝るぜよ。」

「仁王しかいないじゃん。」

「プリッ。」

「2人とも喧嘩?やめなよそんなとこで。」


メイクしてヘアセットしたパパ参上。ラフなパパも好きだけどこういうパパもいいかも。


「リリーちゃんおらんからつまらん。」

「あたしいるじゃん。」

「おん。」

「その不安な顔は何。」

「あ!黒髪ホクロの子!」

「ん?」


声がする方、ドアの方を見ると若い女の人人が目をキラキラさせてこっちにやってきた。なんだなんだ。


「ねぇ!君!ちょーっとモデルしてくれない?急に来れなくなった子がいて。お給料も出すよ!」

「え?俺?」

「そう!俺!身長いくつ?」

「183なり。」

「んーんーいい感じ!なんか鍛えてそうな感じだけどスポーツしてた?」

「テニスやってたなり。」

「おお!だからムキムキなのか!で、いいかな?」

「別にー」


そう言いつつ仁王はあたしをチラリ。まさかあたしの許可がいるとでも。あたしはもちろん、


「やってきたら?こんな体験ないよ?」

「じゃあやるなり。」

「彼女さんの許可も貰えたし行こっか!ひとつ上の階なの。彼女さんも来る?」

「いえ、あたしは父の付き添いなので。それに仁王見られるの恥ずかしいでしょ。」

「心細いけど当たりじゃ。1人で頑張ってくるなり。」

「1時間くらいしたら戻ってくるかなー?もうすぐここの撮影終わりそう?」

「インタビューもあるって言ってたから大丈夫だと思います。」

「おっけー!じゃあ行こっか。仁王くん?でいいの?」

「おん。じゃあ行ってくるなり。」


まさかの仁王モデルデビュー。仁王はお金よりもモデルのリリーちゃんに会えると思って仕事を引き受けたと思う。でもモデルはびっくり。パパも驚くかな?


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