03


「ほらよ、残すんじゃねぇぞ。」


実行委員でもなんでもない無所属の丸井が率先してビビンバを作った。食になるとあいつは動く。動くデブってやつだ。


「丸井ーブタの方!お前だけ量が多いんだけど。」


クラスメイトの1人が丸井にクレームを言った。確かに丸井の皿に盛ってあるビビンバとあたしのビビンバ量が違う。


「うっせぇ!俺はブタじゃねーし!俺が作ったんだから文句言うんじゃねーよぃ!」

「手伝おうとしたらあんたが包丁向けて来たからでしょ。」


確かにクラスメイトの言うとおり丸井は実行委員とか調理部の子が手伝おうとしたら俺が1人でやるから触るなと包丁を向けながら言ってた。まさか盛り付けをしたいからビビンバ作ったのかな?


「ま!文化祭の時に食えばいいじゃん!でも1人だけ2倍以上食べたから丸井は端数払えよ。」


実行委員の鶴の一声で丸井が食材費の端数を払うって事でビビンバ事件は解決した。あたしたちは細かいお金を出さずに済んでラッキー。丸井は不服そうだったけど。

仁王は半分食べてお腹いっぱいらしくあたしにくれた。仁王の分ももらって満足。みっちゃんには彼氏よりも大食いってどうなのよと言われたけど。ちっちゃいことは気にしないんだ。わかちこ!

食べた後はみんなで食券を作ったりポスターを作った。仁王が食券の番号を書く係で途中で同じ数字を書いてしまって数字がおかしくなってしまいギャル軍団の1人に怒られていた。

















「ふー。散々だったなり。」


今日は仁王がママチャリだったから2ケツで下校。もちろんあたしは後ろ。みっちゃんとかおねえと2ケツするときはいつも運転させられるけど仁王だからね!今日は!


「あんたが数字書く係がいいって言ってやらせたのに間違えたからでしょ。」

「絵心ないからポスターは嫌じゃ。」

「えー仁王の意味不明な落書き好きだけどなぁ。」

「ピヨッ。」

「照れてるのー?可愛いー!」


ピヨッと言った背中が可愛くてたまらなくなった。そして仁王の銀色の髪をわしゃわしゃ撫でた。ワックスでかためてるから硬いし変な髪型になってしまった。イケメンだからいいや。


「あ!やめんしゃい!転ける!」

「怖い怖い!揺らさないで!」


頭を激しく撫でてたらしく自転車がユラユラ揺れて危うく転けそうになった。これからは撫でるのはやめよ。


「撫でんのは着いてからにして欲しいなり。」

「何甘ったれたこと言ってんの。無理。」

「ちっ。」


ツンツンな名字も可愛いが俺はデレデレな名字が見たい。ツンなことを言う時はいつも照れてるっぽい。顔を隠して言ったり顔が見えんときに言うから。


「着いたぜよ。」


去年建てられた高層マンションが名字の家。そして俺の家もここ。あの時は偶然過ぎてお互いびっくりじゃった。


「あーお尻痛いや。」


駐輪場に自転車をとめて夕刊を取ってエレベーター。俺は21階で名字は23階。名字はポストに入ってたDMに夢中で少しさみしい。

かまってほしくて名字の頭に肘をついてみた。名字が嫌そうに俺を見てきたと思ったらニヤニヤしてる。


「構ってほしいん?んふふ。暑いのに自転車ごくろーさん。」


ちゅっ。

名字が精一杯背伸びをしてキスしてくれた。ほっぺはよくしてくれるが唇は久しぶり。嬉しいなり。


「ご褒美。」


ニコッと少し照れて笑う名字が可愛すぎる。このまま俺ん家直行。


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