03



「おい。」

「はい。」

「お前なんで口軽いんじゃあああ!」


旅館のロビーのソファでパパのブログを更新したりパパがインスタグラムって何って聞いてきたから説明してあげたりしていると仁王が来て隣に座ってムッとした顔であたしの肩を掴み揺らしてきた。


「うーん。みっちゃん達って言葉の誘導が上手いんだよね。」

「それは分かるぜよ…俺も何度も誘導されたぜよ。」


仁王は肩を揺らすのをやめてぐでーんとソファに項垂れた。

晩ご飯のときみんなですき焼きを楽しくついていたらさっこが急に「さっき聞いたよ!仁王ってさーなまえのおっぱい大好きらしいね、寝てるとき揉んでるんでしょ。」と言ってあたしと仁王以外は大盛り上がり。

そのとき仁王はすんごーくあたしのこと睨んでた。そしてやっぱり怒られた。


「ごめんね?ついぽろっとね。」

「あいつらと同じクラスなって2年間俺はどれだけ性癖を曝け出したんじゃ?」

「あとは卒業だけだから大丈夫だよ!うん!」

「俺もやけどお互いの夜の話はNGな。くれぐれも俺の息子のサイズの話とかはダメなり。」

「そんな話…なるわけないよ。」

「今の間なんじゃ。」

「んー前にそういう話なったの。」

「いいいい言ったのか?」


また仁王はあたしの肩を掴み激しく揺らした。顔近い。ツバ飛ぶ。


「言ってないよ!みんなの彼氏は他人だから言ってたけどさすがに仁王はお互い知ってるからそろーりトイレに言ったよ。」


仁王はホッとしたようなので押し返して元に位置に戻した。


「名字って案外ええやつじゃ。」

「案外ってあたしは元々いい人だよ。しかも中1から知り合ってるのに。」

「名字ってよく俺のこと裏切るから。」

「それは仁王の反応がいいってかおもしろいってか。」

「俺はなまえちゃんのおもちゃぜよ。」

「おもちゃとは思ってないよ!」

「本当か?」

「本当!本当だよちゃんと…」


タイミング良くというか悪いというかパパからの着信だ。仁王には悪いけど出ることにした。


「もしもし?」

(なまえ?)

「うん。あたしの電話にかけてるからあたしだよ。」

(そーだよね。)

「で、何?」

(俺もやっぱりインスタグラム始めたい。)

「えーあたしがしないとだめなんでしょ。」

(これは写真撮るだけだから大丈夫。)

「ツイッターだって一緒じゃん。」

(あれは誤爆するかもしれないし失言するかもしれないから。)

「分かった。マネージャーさんにも許可取ったら教えて。帰ってからするから。」

(オッケーあっ!ちゃんと金渡したから買ってきてよ。)

「分かってるよ!ご当地キューピーでしょ。」

(そうそう。じゃあ楽しんでねー)

「はーい。おやすみ。」

(おやすみ。)


電話を切ると仁王はパパさん?って聞いてきた。


「そうそう。インスタ始めたいって。」

「ふーん。それも名字が管理するん?」

「んーん。あれは画像だけでいいから俺がやるって。」

「んじゃパパさん始めたらフォローしよっと。」

「してあげて。喜ぶから。じゃっ部屋戻ろっか。」

「えー少しデートしたいなり。」

「んー仕方ないなぁ。」


仁王はぱああっと笑顔になり手を差し出してきた。あたしもつられて笑顔になり仁王の手を握った。


「どこいく?」

「んー足湯!」

「俺もそれ思ったぜよ。」


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bkm
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