誰か助けてください。人生で一度も乗ったことの無い馬に乗らされています。
「ちゃんと掴まっててね小晴ちゃん」
「ちょ、待って…きゃあっ!!」
佐助さんにがっちり掴まっているにも関わらず、ガタガタ揺れる。優雅な乗馬のイメージとはかけ離れているにも程があるって!
少し前に遡ると、私を城へ連れて行こうと言った佐助さんと、佐助さんの上司(?)の真田幸村さんに半分脅しで強制連行された。最初は幸村さんの後ろに乗ろうとしたが、真っ赤な顔して“破廉恥でござるー!”と騒いでしまいそれどころじゃなかったので、佐助さんの後ろに乗らせて貰った。そして今は半泣き状態で心も体もボロボロ…。
「大丈夫ー?生きてるー?」
「だ、大丈夫…」
「もうちょっとで着くから我慢して」
あともうちょっとでどのくらいだろう。大丈夫とは言ったものの、酔ってしまい気持ち悪い。早く城に着くことを祈って、我慢した。
***
「小晴ちゃん。着いたよ」
「え…何これ」
目の前に聳え立つ何とも立派なお城に私は呆然とした。どうやら私はとんでもない所に連れてこられたようだ。先程までの気持ち悪さが嘘のように吹き飛んだ。
「此処がお館様の城でござる」
「お館様?」
「この城の城主。俺達の大将ってこと」
余程偉い人なんだな…。私の頭の中では、その人に対して強面なイメージが膨らんでいた。
「お館様にも小晴ちゃんを会わせた方がいいでしょ?」
「うむ、その方がよいな」
「え?」
「よし、じゃあそういうことで、行くよ小晴ちゃん」
「ちょ、待ってくださいよー!」
私は佐助さんに腕を引っ張られ、ドンドン奥へ入っていった。そして、この2人は私の話を聞いてくれないことを理解したのであった。