「…とりあえず、詳しく話を聞かせ貰おうか」
「あ、はい。確か帰り道で空から降って来た変な筒みたいなのが伊織に直撃して、目の前が急に真っ暗になったんですけど、目が覚めたらここにいました。でもその間の事は覚えていなくて…」
あの時の記憶を頭の中から出来るだけ手繰り寄せながら草壁さんに話す。言葉を慎重に選びながらだったので、途切れ途切れになっているだろうな。
「…それはもしや、十年バズーカ?」
「十年バズーカ?」
「ソイツを使うと、今の自分と十年後の自分が入れ替わるってヤツだ。5分間だけだがな」
「5分…。じゃあすぐ戻れるんですか?」
「いや待て、森咲は2時間位寝ていたぞ?」
「……え?5分で戻れるんじゃ?」
「もう2時間以上経っているぞ」
マジでどういうことですか?何で伊織は戻れないの?それより、伊織は今十年後の世
界にいるって事だよね…。
「嘘でしょ…此処が十年後の世界?」
「あぁ、ハッキリ言えばそうだな」
「もしかしてさっきの人は…雲雀さん?」
「恭さんだ。此処は風紀財団のアジトだ」
「ええぇぇえぇー!?」
草壁さんの衝撃発言を聞いて、思わず叫んでしまった。どうやらやっとこ状況が理解出来たみたいだ。
「そ、そうなんだ」
「俺もとりあえず今目の前にいるのは十年前の森咲だということはわかった。でも何故元に戻れないのかがわからない」
「草壁さぁーん、伊織どうしたらいいんですかぁ…」
「俺も出来れば此処に居座らせてやりたいが」
「雲雀さん、ですか?」
「あぁ、一応恭さんの許可が必要だな」
「わかりました。伊織、雲雀さんを捜しに行きます!」
「は?」
「雲雀さんを捜して、此処に居座らせて貰えるように許可を得てくるんです!ってことで行って来ます!グッドラック草壁さん!」
「あ、おい!」
そして伊織はがむしゃらに走り出した。思い立ったらすぐに行動!