空を泳ぐ雲 | ナノ






伊織は死ぬのかな?さっきのことから何が起こったのかわからない。変な物が空から降ってそれが伊織に直撃し、目の前が真っ暗になったんだ。これが夢だったら……いいな。




「ん…ぅ、ふぁー…」



どうやら寝ていたみたい。何だ、やっぱり夢だったんだ。



「…あれ?」



夢じゃなかった。見たこと無い光景が広がっている。旅館のような広い和室で伊織は布団の中で寝ていた。



「ここは何処?」

「…起きたかい?」



声が聞こえる方を振り返る。そこには扉にもたれかかってこちらを見つめる人がいた。
だが伊織はその人に驚きを隠せなかった。だってその人は―――



「…そっくり」



雲雀さんにそっくりだったから。少し髪が短いが、その整った顔はまるで瓜二つだ。



「何がそっくりなんだい?」

「え?あっ…いや!知ってる人にそっくりで」

「僕が?」

「はい」

「ふーん」



わぁ、声まで似ている。これはあれか?ドッペルゲンガーってヤツか?ヤバい伊織死ぬ!…って違うか。



「ねぇ。丸聞こえだよ」

「ふぇ?…え?嘘!?」



うわぁ恥ずかしい。ドッペルゲンガーだの意味不明発言しちゃったし。



「恭さん、どうかしましたか?」



今度は誰?…って草壁さん!?



今度は風紀委員副委員長―草壁哲矢のそっくりさんが現れた。何?何なの!?ちょっと待ってよ!ていうか草壁さんのリーゼントまでそっくりって笑える。



「起きたんですかこの子供」

「く、草壁さんだって一応伊織と同じ中学生じゃないですか!子供扱いしないでください!」

「?」

「……あ」



まずい、頭ごなしに怒鳴ってしまった。草壁さんだって先輩なのに、やっちゃった…どうしようどうしようどうしようー!



「何言ってるんだ?俺は中学生じゃない。それに、何故俺の名前を知ってるんだ?」

「へ?」



思わず間抜けな声を発してしまった。



「草壁さん!伊織ですよ!森咲伊織です!」

「森咲…伊織?」

「風紀委員で一緒だったじゃないですか!」

「恭さん…どうしましょうか?」

「知らない」

「あっ、ちょっと!」

「雲雀さん!!」



雲雀さん、のそっくりさんは背を向けてその場を去ってしまった。



これは一体どういうこと…?


2012320→誤字訂正

 


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