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「名前ちーん」

「んー?」

「チョコ作ってー」

「もうすぐバレンタインだから?」

「そー」

「作れそうだったら作るね」

「わーい」



***

当日、紫原君との約束通りチョコを作ってきた。正直自信が無かったから作るのを諦めようと思っていたが、゛彼女なんだから作れ!゛と友人し叱られ、昨夜家で作った。今回作ったガトーショコラは自分でも良い出来だ。これはきっと愛の力だ!…なんて。



「……んー…」


今の私は教室の出口の前で悩んでいる。朝早くに紫原君から『オレのクラスにきてねー』なんてメールが来て行こうとしたが、とてつもない緊張のせいで動けずにいる。


「名前、いつまでそこにいるの?紫原君待ってるよ」

「行きたいんだけど、こここここに来て緊張がっ…」

「んなこと行ってる場合かー!いつまでもそこにいられるとみんなの邪魔なの!早くあっち行きなさい!渡すまで帰って来るな!」

「ひっ、酷い!!?」


親友ならもっと応援してくれてもいいのに…。モヤモヤしながらも教室を出ようとした時…


どん!


「きゃっ、ごめんなさい!…って紫原君!?」

「名前ちん遅いー。来ないから来ちゃったしー」

「ご、ごめん。何か緊張しちゃって。…はい、約束のやつ」

「おー、いい匂いー」

「ガトーショコラだよ。…ってもう食べてる!?」


紫原君はラッピングされた袋を開け、既にそれを口の中に運んでいた。口の周りにチョコをべったり付けてモゴモゴしている姿がとても愛らしく感じた。


「お、お味の方は?」

「んーおいしー」

「よかったぁ…」

「もうホントに名前ちん、俺のお嫁さんになってくれればいいのに」

「うん。…って、えっ?」

「てなわけで、名前ちんはオレのお嫁さん決定ねー」

「え?え?」


突然の展開で頭がおかしくなりそうな時、彼に腕を引かれ気がついたら抱きしめられていた。私達廊下で何やってるんだ。みんなの注目を浴びている中紫原君は『お嫁さんー』なんて言いながら私の首筋に顔を埋めてくる。この人が本当に将来の旦那さんになるといいな、なんて考えながら彼の背中を優しく撫でた。



(お前等学校でいちゃつくな!)

(えー、まさ子ちん今いいとこだったのにー)

(監督と呼べ!練習メニュー3倍にするぞ!!)

(えぇー!)

(……)


荒木先生にこっ酷く怒られましたとさ。




だいぶ遅刻したバレンタイン。最近krbsに手を出し始めました。むっくん可愛いむっくん可愛い。もう妖精にしか見えない。むっくんの長編書きたくなりました。これから新ジャンルに加えたいな(^w^)

 





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