それは陽泉高校バスケ部のある日の朝練のことーーー。
「うむー……」
「何だよアゴリラ。朝から難しい顔して」
「わかった！オレは何でモミアゴリラか考えてたアルね」
「二人して勝手なこと言うな！！全然違うわ！」
福井健介、バスケ部副主将だ。うちの主将が何悩んでんだと思い、近くにいた劉と一緒に声をかけた。
「んで、本当のとこは何考えてたんだよ？」
「いや……最近ワシらには何かが足りない気がするんじゃ」
「何がアルか？」
「なんというか、もっと…こう、士気を上げられんかと思ってのう」
「士気？」
「練習中の部員の気の緩みが目立つんじゃ」
「あー…なるほどな」
そう言うことか。…でも、岡村の言う通りかもしれない。練習中も全体的にダラダラしているのを俺も感じていた。
「士気を上げる、って…どうするんだよ」
「それを今考えてたんじゃ」
そう言って岡村は腕を組んでまた考え出した。
「そうだ！ウチもマネージャーを募集するのはどうアルか？」
「マネージャーってお前なぁ…」
「オレは美人なお姉様系がいいアル！」
「話聞けよ！！」
「女子マネージャー…」
「何の話〜？」
「のわぁっ！！アツシ、脅かすんじゃねぇ！」
うちのエース、紫原敦の登場。アツシはただでさえデカいから、背後に立たれると心臓が持たねぇよ…全く。
「アツシはマネージャーが欲しいアルか？」
「んー…ドリンクとか作ってくれるなら欲しいな〜。中学の時もいたから色々と楽だったよ」
「なるほど」
「やっぱり女の子１人いれば華があるね。オレもマネージャー欲しいアル！」
「よし、ちょっと考えておこう」
「監督にも一応話しておけよ、アゴリラ」
「ワシがか！？ていうかそのあだ名やめんか！」
こうしてバスケ部にマネージャーを募集することになったのだった…。
（マネージャーかぁ。…………あ、オレひらめいちゃったし！）
（どうしたんだ、アツシのやつ）
（知らないアル）