こちら、私が通っている陽泉高校です。バスケの強豪校で多くの好成績を残しているらしい。
「おはよ、壬琴」
「あっ、晶ちゃん。おはよー」
彼女は私の一番の友達、四ノ宮晶ちゃん。学年で1、2を争う美少女なんです。晶ちゃんは入学当初から私に優しくしてくれる親友であり、憧れの人でもある。
「聞いて晶ちゃん。昨日駄菓子屋さんでね、すっごい背高い人見たんだよ!」
「すっごい背高い人ぉ?」
昨日の出来事を話してみると、晶ちゃんは?マークを浮かべながら首を傾げていた。
「うん。新味のまいう棒を取ろうとしたらその人と被っちゃったの。でもね、私が譲ってあげたんだ」
「そっかぁ、偉い偉い。さすが私の壬琴。ところでその巨人はどんな感じの人なの?」
「うーんと。髪は紫色で、何かこう…眠たそうな目をしてて、お菓子をカゴいっぱいに入れてる人だったかな」
「………それ、紫原君じゃないの?」
「紫原君?」
「隣りのクラスの紫原敦君。巨人でお菓子好きって言うと彼しか思い浮かばないわ」
「へぇー」
「そんなことより、早く教室行くよ壬琴」
「え?ちょっ、待って晶ちゃーん!」
***
「ほら、あれが紫原君よ」
「……あっ!」
隣りのクラスの教室の入口で晶ちゃんが指差す先には、昨日見た人とそっくりな人。その人は窓際で大量のお菓子を机に並べて、まいう棒を美味しそうに食べていた。間違い無い。きっとあの人だ。
「あれが紫原君か…」
「お前らそんなところにいると邪魔だ。早く教室戻れ」
「「はーい…」」
気付けば始業1分前。いつの間にか私達の後ろにいた先生に、出席簿で頭を叩かれてしまった。