勇ましくも逞しい声を轟かせクエストに赴いて行った戦士たちの背を見送って、ナナシも通常営業と戻る。

 がらりとしたギルドの中には、うさぎとかめが折り重なるようにして休んでいた。無理もない。急な仕事で、疲れきっているのだ。

 ほっ、と一息吐いて、カウンターへと《腰掛ける》コマンドを入力する。

 ぼー、としてふと、何の依頼内容だったのか、どこに赴くのかも勢いに任せて聞いていなかったことを思い出した。






[元祖裸族]
≫なに、今日は《Easter》だからな


 いつの間にか、赤髪、上半身裸という変わったカスタマイズの男がいた。
 防具を一切身につけていないということは、よほど腕に自信がある者かバカかどちらかである。

 浮かんだ疑問を取り敢えず隅に置いて、ナナシは問いかけた。
 Easter──確かに今日は復活祭。だが、それと何の意味があるのだろうか。



[元祖裸族]
≫フッ


 だが男は含みのある笑いを零すだけだった。





-END-


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