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「なぁんですってぇ――――――――――?!」

ポケスロン会場の控え室に、少女の声が響いた。
同室で柔軟をしていた、長年のパートナーであるネオラントの浪路が怪訝な顔をして振り向く。

「どないしはったん、澪葵」

「どーもこーもないのよ、こうしちゃいられないわ!レイ君が風邪引いて倒れたっていうのよ!」

ポケギアを握りしめて叫ぶのは、

『人畜有害』
『目的のためには手段を選ばない』
『彼女のいる場に騒動あり』

と、いう三種の神器(?)の名で親しまれているマリルリの澪葵。

「あらまぁ。ほな、今日来れんのやね。せっかく招待したんに、残念やねぇ」

言って浪路は伸びをひとつ。
腕に通していたゴムで、その長い髪を束ねる。

「熱?風邪?あたしのレイ君が?!……こーしちゃいられないわ。ナミちゃん、あたしレイ君のお見舞い行ってくる!」

「……は?澪葵、何考えてますのん?うちらの出番まで、もうそんな時間あらんよ?」

「大丈夫大丈夫!じゃーいってくるね、ナミちゃん!」

「あ、ちょっと……もう、ほんにしようあらんねぇ」

引き止めようとする浪路の声を華麗に聞き流し、澪葵は転げるように控え室を飛び出していった。
残された浪路はため息をひとつつき、嵐の去った方向に手を振った。


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