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【証言1】
それは、ある満月の夜のことでした。
いつものように、おいらたちは皆でお月見をしようと水辺から出てきたところでした。


【証言2】
小高いところにあるその丘は、夜空がよく見えるおいらたちの特等席。でも、この日は珍しく先客がいました。
見慣れないその姿は、おいらたちポケモンではなく、人間の女の子でした。


【証言3】
その女の子は、何やら様子が変でした。せっかく夜空が綺麗なのに、ずっと下ばかり向いているのです。
何かを探しているのでしょうか?


【証言4】
おいらたちは少し迷いました。だって、不用意に人間に近付いて、捕まったり傷付けられた仲間を知っているからです。
でも、その女の子はとても困っている様子でした。


【証言5】
女の子がずっとそこに居ると、おいらたちはお月見ができません。
どうしよう、と皆で顔を見合わせたそのときです。
その女の子は、おいらたちの方を振り向きました。


【証言6】
女の子はこちらに近付いてきます。
逃げなくちゃ!
そう思って、後ろをむいたときのことです。
「ねー、あんたたちー!待ってよー!」
その女の子は、叫びました。
条件反射というのでしょうか。おいらたちは、うっかり立ち止まってしまったのです。


【証言7】
そうしているうちに、女の子はおいらたちのところにやってきました。
「やー、ごめんねー突然。あのさ、あんたたちに聞きたいことがあってさ」
女の子は、にこりと笑ってそう言いました。


【証言8】
おいらたちは驚きました。なんせこの女の子は、おいらたちの言葉がわかるみたいなのです。
「ん?ああ、そりゃーびっくりするよね、普通」
まったくです。
しかし、女の子は気にする様子もなく、あはは、と笑っていました。なんだか不思議な人間です。


【証言9】
その女の子は言いました。
「あのさー、あたし探してるものがあるんけど。あんたたち、知らないかなって」
やはり、探し物だったようです。
「青くて白くてこれくらいの花。この辺に咲いてない?」
彼女は、指を少し広げて言いました。


【証言10】
今までずっとここでお月見をしていましたが、青くて白い花なんて、おいらたち見たことがありません。
「そっかー、知らないかぁ。なんかさ、何年かに1度、しかも一晩しか咲かない花らしくてさ」
女の子はとても残念そうでした。


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