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【証言11】
何年かに1度しか咲かない花なら、おいらたちだって見たことありません。
でも、そういうことに詳しいひとに心当たりがありました。
おいらのじいちゃんが会ったことあるという、洞窟の賢女。名前は確か、碧翠さん。


【証言12】
碧翠さんについては、いろいろ不思議な噂を聞きます。
おいらのじいちゃんも会ったことがあるし、でも、近くの草むらに住んでいるメリープさんもついこの間会ったばかりだといいます。
でも、おいらのじいちゃんが碧翠さんに会ったのはじいちゃんが子供の頃。何年も何年も昔の話です。


【証言13】
碧翠さんは、繋がりの洞窟の奥深くに住んでいるそうです。
そうです、というのは、ここで会ったというひとも居れば、影も形もなかったというひとも居るのです。
だから、碧翠さんの正確な居場所は誰も知らないのです。


【証言14】
でも、そんな不思議な花はおいらたちだって見てみたいです。
だから、駄目元でおいらたちは碧翠さんのもとを訪ねてみることにしました。
「え、なになに。あたし着いてってもいいの?」
多分、大丈夫だと思います。
それに、おいらたちじゃ、うまく説明できないし。


【証言15】
そこは繋がりの洞窟のずっとずっと奥。洞窟の中に、小さな湖ができていました。
しんと静まり返ったそこは、なんだか不思議な空間でした。
「ねぇ、あんたたち。そのヒト、碧翠っていうんだっけ?」
確か、そうだったと思います。
すると、女の子は
「ん、ありがと。……へーきーすーいーさーん!」
洞窟いっぱいに響き渡るような声で、叫びました。


【証言16】
女の子の声が洞窟に反響して、水面に波紋が浮かびました。
ひとつ、ふたつ。
そして、そのなかにひとつ。大きな波紋が浮かび上がったのです。
『なんだい…やかましいねぇ。誰だい、あたしの眠りを妨げるのは』
姿を表したのは、それはそれは凜として美しい、ラプラスさんでした。


【証言17】
「あんたが碧翠さん?」
『そうさ、いかにもあたしが碧翠さ。そういうアンタのことは聞いたことあるよ。エンジュの一族だろう?』
すると、女の子は大きく目を見開きました。
「え、なんで知ってるの?」
碧翠さんは、不思議なヒトです。
『さぁ、なんでだろうねぇ』
からかうような調子で、そう言いました。


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