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「うわ、」

暗闇に包まれていた視界に、突然光が射した。
アスナは反射的に手でひさしを作る。
すると、彼女の傍にいたミジュマルも短い手を使って同じような仕種をする。

「ぷは!おもしれーな、お前」

そんなミジュマルの様子を見て、アスナは吹き出す。
そうこうしているうちに、視界の明るさに目が慣れてきたようだ。
視界をおおっていた手を下ろすと、辺りには見覚えのある景色が広がっていた。

カインも思ったことは同じようで、少し考え込むようにしたあと、そうだと呟いた。

「……思い出した、カラクサだ」

「ああ!」

アスナも思い当たることがあったのか、ぱん、と手の平を打った。

「……なんだ、アスナお前忘れてたのか?」

「うっせ、覚えてるよ!あれだろ小学生んときに遠足で来たとこだろ」

言いながら、2人は辺りの様子を伺う。
見たところ、そこは先程まで彼らのいたセカイのカラクサタウンと同じ……に、見えた。

「あれ……?」

それは、小さな違和感だった。
しかし、見過ごさないくらいにはそれなりに目立つ違和感。

「どしたの、カイン?」

「いや……ほら、あの人。なんか、すっげーミネズミに似てないか?」

言って、ほら、と広場の向こうを指せば、その人物はそこにいた。

「うわ、ほんとだ。ポケモンは主人に似るっていうけど、逆もあんのかな」

くくっとアスナはおかしそうに笑いを漏らす。

……が、その様子を見ているマガツの表情は険しい。

「マガツ、どうしたんだ?」

「……いや、あれはミネズミに似ているのではない。ミネズミ そ の も の だ」

2人は耳を疑った。

「は……?だってあれ、どう見ても、」

自分たちの知っているミネズミではなく、むしろ自分たちの姿により近い……というより、そのものである。

「どういうことだよ、マガツ。擬人化できるのは、マガツみたいな管理人だけじゃないのか?」

しかし、マガツはゆっくりと首を横に振る。

「私のセカイでは、な。しかし、ここは私のセカイではない」

――曰く。
セカイが違えば、それは可能性として有り得ることらしい。

しかしマガツが気にしていることは他にあるようで、先程から何かを考え込んでいる。

「普通のポケモンが擬人化するセカイ……いや、まさか……」

「……マガツ?」

ぶつぶつと何かを呟き、2人の呼びかけなど、耳に入っていないように見える。


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