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「……うーん?」

うっすらとした明かりの中で、彼女は唸った。
見渡す限り、一面の白。

「ここ、どこだろ……」

白に囲まれたその空間には彼女ひとり。

「そうそう、あたしアスナとカインと買い物に行ったんだわ。で、二人と別れて……、」

彼女は首を傾げた。
どうもそのあたりから、記憶がはっきりとしないようだ。

「えーっとぉ……とりあえず、ここどこだろ…」

とにもかくにも、ここから出なければ話は進まない。
彼女はさして取り乱した風もなく……実際は結構驚いてたりもするのだが……のんびりと立ち上がり、一歩踏み出した。

そのとき。


「気がつきましたか」


突然、背後に気配が生まれた。

「え?」

辺りにはさっき誰もいなかったはず……彼女は流石に驚きを顔に表した。

振り返るとそこにいたのは、白を基調とした服を纏った、金髪というよりはプラチナブロンドの髪色の女。
碧い瞳は何故か憂いを称えているようにも見える。

「えーっとぉ……とりあえず、ここ、どこですか?」

彼女はしばらく悩んだ末に、その問いを口にした。
しかし女は、その質問に影をより深くした。

「ごめんなさい……ごめんなさい、」

はらはらと女は涙を零す。

「あの……?」

流石にどうしていいかわからないのだろう、彼女は困惑の表情を浮かべる。
女はしばらく涙を流していたが、やがてそっと袖で拭うと彼女を見据えた。

「すみません、取り乱してしまいました……ユイコさん、驚かせてしまって申し訳ありません」

女の言葉に。
彼女……ユイコは首を傾げた。
自分はまだ名乗っていないのに、どうして。
すると女は影のある笑みを浮かべた。

「あなたのことは知っていますよ、ずっと前から」

「ずっと前……ってことは、お姉さん、ストーカー?!」

「……はい?」

女は先程の影はどこへやら。
ユイコの言葉に目を丸くする。

「ストークすることがストーキング、ストークする人がストーカー……あれ、ストークって何だっけ?」

「後をつける、とかそういった……って、私はストーカーじゃありません!」

真剣な空気に水を注され、思わず女は大声を上げる。
するとユイコはクスリと笑った。


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