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「……っ!」

時を同じくして、"彼女"は、神殿の中で崩れ落ちた。
顔色は蒼白。
その表情は、みるみるうちに絶望に彩られる。

「失われた……"セカイの鍵"が失われてしまった……、」

ゆらり。
"彼女"はゆっくり立ち上がる。

「探さなくては……"セカイの鍵"を、」

そして"彼女"は神殿の最奥部にある、自身よりも少しばかり大きな姿見の前に立つ。
しかし不思議なことに、そこに映し出されたのは"彼女"ではなかった。

それは歳の頃なら16、7歳の少年少女が談笑する姿。
愛おしそうに、そしてそれよりも切な気にその様子を見つめ、やがて何かを決意したようにもう一度その様子を見据える。

「守らなくては……私のセカイを、」

身勝手なのは百も承知だ。
それでも、

「どうしようもないこんな私のセカイでも……それでも私は、このセカイを愛しているから」



そして"彼女"は、瞳の色を絶望から確固たる意志に変え、静かに目を閉じた。



誰も知ることのない、狭間の物語。


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