1 ――さぁ進め、さぁ進め。戦争だ、戦争だ。 「R隊全滅!」 「A隊全滅です!」 ――敵の一団が攻めてくるぞ。さぁ、進め。さぁ、倒せ。 「もう嫌ぁ!」 ピンクアッシュの髪を簡単に結った少女は、手にした武器を投げ捨てる。 「馬鹿ユイコ!死にたいの?!」 「そうだよ、やらなきゃ…やらなきゃ、オレたちが殺されるんだぞ?!」 褐色の肌にキャラメル色の髪をしたおかっぱ頭の少女と、ダークブラウンの髪に猫目の少年が口々に叫ぶ。 それでも、彼女の意志は揺らがない。 「それでもいい……あたしは!無意味にポケモンたちを殺すくらいなら、私が死んだ方がマシよ!」 「ユイコ!!」 そして、少女は。 紅蓮の炎に包まれて、その場に崩れ落ちる。 残されたふたりは、ただ、それを見つめるしか…できなかった。 ぱぎ、と鈍い音を立てて、何かが割れる音がした。 それは、ハジマリを告げる凶兆か、それとも―― |