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「LDS、に……」

まさか予想もしていなかった事実に、彼女は驚きの色濃い声を上げる。

「ええ。詳しい説明は省きますが、とにかく貴女は今、意識だけがこちらに来ている状態だと思ってください」

「ふぅん……まあ、死んでないならいっかなぁ」

予想外にあっさりと納得したことに、逆にセルディアの方が驚いたようだったが、しかしすぐに話を続ける。

「……とにかく、ここでの役目を終えれば……あなたは、元いたセカイへと戻れますから。もちろん、あなたが望むのであれば、ここで生き続けることもできますが」

臥せ目がちなセルディアの表情からは、その真意を読み取ることは難しい。

「うーん……できれば帰りたいかなぁ、なんて。お父さんやお母さん、アスナやカインにまた会いたいし」

そう言った彼女の表情は笑ってはいたが、どこか寂しそうな色を帯びていた。

――無理もない。
しかし、やらねばならない。

セルディアは、小さな罪悪感に囚われる……が、だからといってここで計画を中止しては、このセカイが最悪滅んでしまう。

「そうですか……では、早く元のセカイに戻れるよう、早速本題に入りましょう。アララギ、」

「ええ、わかってる。壱樹!」

セルディアの合図でアララギが部屋の向こうに声をかける……と、

「え……うわ、うわわわわ?!」

妙に慌てた声に続いて、ガタタタ!と大きな物音が響き渡る。

「あっちゃー……ちょっと!壱樹、壱樹?!」

そのけたたましい音の犯人であろう名を呼びながら、アララギはその方向へと向かう。

「壱樹、さん?」

「えぇ。彼にはあなたのサポートをお願いしています」

セルディアの言葉に、ユイコは首を傾げる。

「え……だって、サポートはセルディアさんが……、」

しかし、セルディアは。
ゆっくりとその首を横に振る。

「あなたについていたいのは山々です。しかし、私はこのセカイの管理人……あまり長い間、その座を空白にするわけにはいきません」

こうしている間にも、セカイの軌道は大きく逸れている。
少しでもそれを元に戻し、抗い続けなければ……このセカイは、ただ滅亡を待つばかりのセカイとなってしまう。
異なるセカイで何が待ち受けているのか……ユイコは珍しく、不安げに眉を下げた。

そのとき、だった。


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テーマ「人外ファンタジー」
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