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「……とりあえず、広場にそういう人がいたのはわかったわ」

しばらく何かを考え込んでいたアララギだったが、自分の中で何かを結論付けてそう切り出した。

「でも、そのマガツという人とゼクロム……一体どういう関係なの?」

アスナとカインはまたも互いに顔を見合わせる。
そして、口を開いたのはカインだった。

「……同一人物」

「…………え?」

答え辛そうに返されたその答えに、アララギは思わず声が裏返る。

「ごめん、カイン。もう一回言ってくれる?」

すると、カインは同じように言いづらそうに口を開いた。

「……同一人物なんだ。どうしてそうなってるのかはよくわからないけど……マガツは自分の意思で人間の姿になることができるみたいなんだ」

「ほんとだぜ、博士!私らの目の前で変身したんだ!」

彼女のその反応を信じていないと受け取ったのか、アスナは力いっぱい主張する。
そんなアスナに苦笑しながら、アララギはふぅんと頷いた。

「アスナ、それにカイン。私はキミたちの話を信じてないわけじゃないよ。そのゼクロム……マガツが居たことも、私は信じる」

ね、と大きくウインクすれば、2人は顔を綻ばせる。

そんな彼らを見て、アララギは「じゃあね」とテーブルの上で指を組んだ。

「"なぜ"は、とりあえずわかった。じゃあ、ここからが本題。キミたちは、"どう"したいの?」

2人はごくりと唾を飲む。
覚悟はしたはずだ。
でも、行くなと止められるかもしれない。
それでも、彼らの決意は揺らがない。

「わたしたち、ユイコを助けに行きたいんだ」

アスナの言葉に同意するように、カインも無言でしっかりと頷く。

「キミたちのことだから、そう言うと思ったよ。危ないからやめなさい……とは言わないわ」

彼女のその反応に、2人は少し驚いた。
多少なりとも反対はされることを覚悟していたが、どうやらそうではないらしい。
彼らの安心た様子を見て、そうだ、とアララギは立ち上がる。

「ちょっと待っててね、すぐ戻るから」

そう言って、彼女は部屋から出て行った。
途端に、2人の身体から力が抜ける。

「うあー、緊張したー!」

「俺も。でも、博士が信じてくれてほんとによかったな」

アララギを全く信用していないわけではないが、話が突拍子もないだけに、信じてもらえるかは賭けに近かった。
そして、彼らはその賭けに勝ったのだった。

すっかりぬるくなったホットミルクで緊張のため渇いた口を潤していると、ガチャリとドアノブが回る音がした。


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