1 「……うーん?」 うっすらとした明かりの中で、彼女は唸った。 見渡す限り、一面の白。 「ここ、どこだろ……」 白に囲まれたその空間には彼女ひとり。 「そうそう、あたしアスナとカインと買い物に行ったんだわ。で、二人と別れて……、」 彼女は首を傾げた。 どうもそのあたりから、記憶がはっきりとしないようだ。 「えーっとぉ……とりあえず、ここどこだろ…」 とにもかくにも、ここから出なければ話は進まない。 彼女はさして取り乱した風もなく……実際は結構驚いてたりもするのだが……のんびりと立ち上がり、一歩踏み出した。 そのとき。 「気がつきましたか」 突然、背後に気配が生まれた。 「え?」 辺りにはさっき誰もいなかったはず……彼女は流石に驚きを顔に表した。 振り返るとそこにいたのは、白を基調とした服を纏った、金髪というよりはプラチナブロンドの髪色の女。 碧い瞳は何故か憂いを称えているようにも見える。 「えーっとぉ……とりあえず、ここ、どこですか?」 彼女はしばらく悩んだ末に、その問いを口にした。 しかし女は、その質問に影をより深くした。 「ごめんなさい……ごめんなさい、」 はらはらと女は涙を零す。 「あの……?」 流石にどうしていいかわからないのだろう、彼女は困惑の表情を浮かべる。 女はしばらく涙を流していたが、やがてそっと袖で拭うと彼女を見据えた。 「すみません、取り乱してしまいました……ユイコさん、驚かせてしまって申し訳ありません」 女の言葉に。 彼女……ユイコは首を傾げた。 自分はまだ名乗っていないのに、どうして。 すると女は影のある笑みを浮かべた。 「あなたのことは知っていますよ、ずっと前から」 「ずっと前……ってことは、お姉さん、ストーカー?!」 「……はい?」 女は先程の影はどこへやら。 ユイコの言葉に目を丸くする。 「ストークすることがストーキング、ストークする人がストーカー……あれ、ストークって何だっけ?」 「後をつける、とかそういった……って、私はストーカーじゃありません!」 真剣な空気に水を注され、思わず女は大声を上げる。 するとユイコはクスリと笑った。 |