7 「俺も行くよ」 「カイン?!」 沈黙を破ったカインの言葉に、アスナは驚きの声を上げる。 「アスナ、自分で言っただろ?ユイコに会えないのは嫌だって」 俺も同じだよ、と。 昨日揃いで買った、色違いの石がついたストラップを見つめる。 カインは青、アスナは赤。そしてユイコは緑。 アスナもつられて、自分のストラップを握り締める。 その手にぽたりとひとしずく。涙が落ちた。 「…っ、ユイコ…!」 待っててね、ユイコ。絶対助けるから。 固く心に誓う。 「それに、元々今日からトレーナーとして冒険に出るはずだったんだろ?なら、ちょうどいいじゃないか」 「ん…そう、だね」 ぐす、と鼻をすすり、アスナは頷いた。 泣いてなんて、いられない。 2人の決意に、マガツは大きく頷く。 『いいだろう。では、一度元のセカイへと戻そう。準備ができたら、またあの広場へ来るといい』 その空間にマガツの声が響いた、次の瞬間。 「…あれ?」 「ここ…さっきの広場だ」 いつの間に。 しかし、ゆっくりしている時間はない。 「アスナ!とりあえず博士のところに行こう」 「何で?」 「俺たちがここじゃないセカイに行くなんて、母さん達に言ったって信じてくれないだろ?でも博士なら、たくさんのトレーナーを見てきたから、まだ話しやすいと思うんだ」 カインの提案に、アスナ首を縦に振る。 「…そだね。連絡も、博士の方に行くようにしてもらえば、ちょっとはごまかせるもんね」 「そういうこと」 そうと決まれば善は急げだ。 2人はアララギ博士の待つ研究所を目指して走り出した。 それは、誰も知らない冒険のハジマリ。 |