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「俺も行くよ」

「カイン?!」

沈黙を破ったカインの言葉に、アスナは驚きの声を上げる。

「アスナ、自分で言っただろ?ユイコに会えないのは嫌だって」

俺も同じだよ、と。
昨日揃いで買った、色違いの石がついたストラップを見つめる。
カインは青、アスナは赤。そしてユイコは緑。
アスナもつられて、自分のストラップを握り締める。
その手にぽたりとひとしずく。涙が落ちた。

「…っ、ユイコ…!」

待っててね、ユイコ。絶対助けるから。
固く心に誓う。

「それに、元々今日からトレーナーとして冒険に出るはずだったんだろ?なら、ちょうどいいじゃないか」

「ん…そう、だね」

ぐす、と鼻をすすり、アスナは頷いた。
泣いてなんて、いられない。

2人の決意に、マガツは大きく頷く。

『いいだろう。では、一度元のセカイへと戻そう。準備ができたら、またあの広場へ来るといい』

その空間にマガツの声が響いた、次の瞬間。



「…あれ?」

「ここ…さっきの広場だ」

いつの間に。
しかし、ゆっくりしている時間はない。

「アスナ!とりあえず博士のところに行こう」

「何で?」

「俺たちがここじゃないセカイに行くなんて、母さん達に言ったって信じてくれないだろ?でも博士なら、たくさんのトレーナーを見てきたから、まだ話しやすいと思うんだ」

カインの提案に、アスナ首を縦に振る。

「…そだね。連絡も、博士の方に行くようにしてもらえば、ちょっとはごまかせるもんね」

「そういうこと」


そうと決まれば善は急げだ。
2人はアララギ博士の待つ研究所を目指して走り出した。

それは、誰も知らない冒険のハジマリ。


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