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一夜明けて翌日。

広場には、昨日の彼らの姿はない。
代わりにそこに居たのは、くたびれたスーツを着た中年と呼ぶには若干早いであろう年頃の男性。
彼はベンチに腰掛けているが、特に何をしているわけでもない。
ただ時折、空を見上げては頭を掻いている。

そうしてどれくらいの時間が経っただろうか。
ふと彼が視線を戻すと、向こうから人影がやってくるのが見えた。
二人の少年少女は、昨日ここに居たアスナとカイン。
ユイコの姿は見えない。
しかし、そのアスナとカインの表情も、何やらうかない表情をしている。
二人は口数も少なく、男性の前を通り過ぎた…そのとき。

「獅子座のアナタ。今日からセカイが変わるかも…気をつけて」

「…あ、わたし、獅子座だ」

「馬鹿アスナ、こんなわけわからんオッサンの言葉に耳を傾けんなよ」

行こうぜ、とカインはアスナを促す。
が、その言葉に男性が勢いよく立ち上がる。

「オッサンとはなんだ、オッサンとは!これでも3つ引いて1の位を切り捨てたらまだハタチなんだ!」

「十分オッサンだよ」

「ええい、これだから最近の若いモンは…」

「そーいうところがオッサンなんだよ」

ぼそりとアスナが言う。しかし、その声には昨日のような覇気はない。

「む…そうか…」

男性は納得したのか、頭を掻きながら再びベンチに腰掛ける。
アスナとカインは不思議そうにその様子を眺めながらも、戸惑いを隠せないでいる。

「ほら、君たち。せっかくこんないい天気に広場へ来たんだ。恋人同士、仲睦まじく語り合うがいい」

「わたしら、別に恋人じゃないし」

「む…そうか。いやまあ、とにかく何かをしようとしてここへ来たんだろう?」

なら私に構わず続けるがいい、と男性は言う。
2人は言われるままに、男性が座っていた隣のベンチに腰掛ける。

「なあ、アスナ」

「なに、カイン…」

「……」

「……」

しかし言葉が続かず、沈黙が続く。
それはまるで、言い出しづらいことを言いかけて飲み込むような、そんな感覚。

「ふむ、どうやらお困りのようだね?」

見かねた男性は、再び彼女たちに声をかける。

「オッサンに言ったって、わかりゃしないよ」

「だーかーら、…まあいい。もしやその様子だと、誰か知り合いがLDSにかかったとかかね?」

男性の言葉に。
2人は、目を見開いた。


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テーマ「人外ファンタジー」
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