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「しっかしまあ、ここも変わんねーなぁ」



――あれから。
無断で早朝から出て来たし、そろそろ一度フスベに戻ろうかとも思ったんだけど、果凜の

「せっかくだし、少しシロガネを見ていきたい」

との主張により、もう少しここに居座ることにしたのだ。
(ちなみにさっきイブキに電話したら、いくらあんたでも勝手に抜け出したら心配する……と、怒鳴られた。反省はしている。改める気はないが)
(ちなみにもうフスベに戻る気はあんまりない。せっかくここまで来たんだから、カントーに行こうと思う)

んで、果凜たちはといえば、和解してからというものキラの懐きっぷりが半端ない。
元々果凜のこと大好きだったみたいだし、まあ、当然といえばそうかもしんない。
(これが所謂"ツンデレ"というやつなのか。いや知らないけど)

リアがドライなのは元々みたいだが、さっきからよく見ればあやめの近くにいる。やっぱり同じ種族同士、何か惹かれるものがあるんだろーか。

小夏はジョウトではあまり見ないポニータに興味を示して洞窟の外に走ってった。
とりあえず保護者に千速と龍妃をつけてるから多分大丈夫……だと思う。

……そして、

「……おい、」

手頃な岩に腰掛けて足をぶらぶらさせてると、隣に気配が。

「何かね、まひる君」

「何考えてんだ?」

適当な岩を探して辺りを見渡したが見つからなかったようなので、立ったまま口を開く。
仕方ない、ちょっと横にずれてやろう。ついでにザックも足元に下ろしてやろう。

まひるはそれを一瞥すると、ちょっと広くなった岩に腰を下ろした。

「さあー。どうだろうねぇ?」

「さあー、じゃねーよ。あんた、俺にわからないと思ってる?」

じとり、とちくちくした視線が刺さる。痛い。

「いんにゃ、思わない。だから、言わない」

だって、まひるには隠し事なんてできないもん。
あたしが言わなくたって、全部お見通しなんだもん。

「だからってなぁ……"果凜が望めばここに置いてく"なんて大事なこと……本人にも言わねえつもりかよ」

……そう。
さっきのやり取りを見て、あたしは一つの決意をした。
果凜がそれを望むなら、ここに残っても……ううん、残った方がいいかもしれない、って。
だからあたしは、さっきからここに座って果凜の様子を観察していたのだ。

「何で果凜に決めさせない?」

まひるの口調はあくまでも厳しい。
……当然か。

「だってね、果凜は優しいから」

ちょっと気が短いけど、
ちょっと手も早いけど、

不器用だけど、果凜は優しい子だから。

「果凜は優しいから、自分の本当の気持ちに関係なく、あたしと来るって言うよ。……でも、それじゃダメ。果凜には果凜の道があるんだから……、」

「……っんだよ、それ!」

あたしの言葉は、その叫びに遮られた。


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