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今日は朝から誰も見当たらない。
いつもの通り昼前まで寝て、気づけば部屋の中はあたし以外誰もいない。
おかしい。
千速が龍妃を連れてどっか行くのや、果凛がふらっと姿を消すのはもう日常だけど、まひるやあやめ、小夏まで見当たらないのは珍しい。
はて…?

「ちとせおねえちゃん!」

うっせーまひるもいないし二度寝でもするかなと布団にただいましたとき。
ちょこちょこと小夏が走ってきた。
相変わらず抱きしめたくなるくらい愛らしい。

「お。小夏おはよ」

「もうこんにちはだよ」

うん、まあ、そうとも言う。
太陽はほぼ真上。
起きるのにはいい頃合いかもしれない。

「まあ、いいや。小夏、まひるたちは?」

「えっとねー、まぁくんが…あ、ううん、ちがうよ!こなつ、しらないよ!」

…?
怪しい。

「小夏、小夏」

ちょいちょいと手招きすれば、小夏は素直にそばまで寄ってくる。
(まひるにもこれくらいの素直さがあればいいんだけど)

「おやつ食べない?」

かばんの中から昨日作ったクッキーを取り出せば、小夏は途端に顔を輝かせる。

「たべる!」

「よーし、みんなには内緒だよ」

そう言ってクッキーを広げると、小夏はにこにこと手を伸ばす。

「小夏、おいしい?」

「うん、おいしいよ!」

百万ドルの笑顔ってこういうことを言うんだろうっていう笑みで、小夏は頷いた。

「そっかそっか、あたしも小夏に喜んでもらえてうれしいよ。ところで小夏、」

クッキーを口いっぱい頬張りながら(そんな仕草さえ愛らしい!)小夏は振り向いた。

「まひるたちはどこ行ったか知ってる?」

「コガネシティだよ!……あ、」

しまった、と小夏は口を押さえるけどもう遅い。

「ふぅん、コガネか…」

「ちがうよちとせおねえちゃん!まぁくんたちの場所なんて知らないよ!」

…まずい、やりすぎたか。
小夏は目に大粒の涙を浮かべている。

と、そのとき。
折あしくと言うべきか、部屋の扉が開かれた。


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