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一夜明けてキキョウシティ。
なんかよくわからんけどマツバに見送られてエンジュから飛び立って、夜明けと同時くらいにキキョウについた。
あんまり寝てないから、正直眠い。

「くぁ…」

朝から何回目になるだろう。
あくびを大きくすると、隣でまひるがぶっさいくな顔をした。

「何よ」

「いや、変な顔だなって思っただけ」

まるで、出かけるわけでもないのに明日の天気を話すみたいにどうでもよさそうに、あっさりとのたまった。
いやそれ普通に失礼だろ。主にあたしに対して。

「あぁ、ごめん」

珍しくあたしの心を読んで謝った、かと、思ったら、

「変な顔は元々だったな」

「まひるー!テメェちょっとそこに直れぇえ!」

「やだね」

つかみ掛かるあたしの攻撃をひょいと軽々かわすと、当然行き場を無くしたあたしの身体は慣性の法則に従うわけで。

「うわ!ちょ、あわわわわ!」

来るべき衝撃に備えて目をつむる。

が。


「大丈夫?」

想像したより柔らかい衝撃に恐る恐る目を開くと、そこには茶髪に青いジャージを来たサワヤカな少年。

「あ、うん。どーも、ありがと」

あたしがぱっと彼から離れると(流石に初対面の男にいつまでも抱き着いてるわけにはいかない)、まひるがクツクツと横で笑うのが見えた。
ちくしょう、絶対おもしろがってんな。
そんな葛藤を水面下で繰り広げていると、そのジャージの少年は身を屈めてあたしに目を合わせる。

そして。

「お嬢ちゃん、こんな朝早いのに偉いね。どこかにお使いかな?」



………



こいつ、ぜってーあたしより年下だろ。
こちとら幼女じゃねぇよ。
ちょっぴりムカついたから、勢いに任せてそいつの足を踏ん付けてみる。

「い…!な、なにするんだ?!」

「いーい?耳の穴かっぽじってよーく聞いてね。あたしこれでも一応ハタチ越えてるから。口の利き方には気をつけな、少年」

見たとこ、16、7の若造があたしを幼女扱いするなんて、10年早い。
もちろん、10年経ったところで年下扱いなんぞさせてやるつもりは毛頭ないけど。
ぐっと一度足に力を入れて、あたしはぽかんとしてる少年を解放してやった。


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