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「見合い、ねぇ」

あたしの説明を聞いて、まひるはふぅん、と唸った。

「あたしはお見合いなんて!断固!拒否なんだから!」

そうだ、あたしは家のせい(と、言っても過言ではない)で、まだ彼氏もできたことがないのだ。
それなのに、お見合いだなんてひど過ぎる。

「でもさぁ、ちとせ」

何かを考え込んでいた千速が口を開いた。

「何よ」

「逆に見合いやってみたらいいんじゃね?相手の方から断ってくれっかもよ?」

「そうかもねー……、って、それどういう意味よ千速」

あたしがジト目で睨むと、千速はさらっと言い放った。

「いやぁ、ちとせの個性溢れる魅力についていけずにさ」

「よーし千速、お前ちょっと歯ァ食いしばれ」

「ごめん千速。あたし止めない」

「え、ちょ、ちとせマジごめんって!果凜も指鳴らすのやめて!龍妃!」

つかみ掛かろうとする果凜から逃げるように千速は龍妃の後ろに隠れ、龍妃は間に入って仲裁をしている。

そんな3人を眺めてたら、ちょいちょい、と着物の袖を引っ張られた。

「ねーねー、"オミアイ"ってなぁに?」

ちょこんと首を傾げた小夏(かわいい!)が、あたしを見上げて聞いてきた。

「お見合いっていうのはねぇ………こう、丸い円の中で向かい合って組み合う格闘技でね、」

「馬鹿野郎、小夏にでたらめ教えてんじゃねぇよ。それは相撲だろが」

まひるがいつものように的確なツッコミを入れる。
小夏はまだよく飲み込めてないみたいで、頭にはてなを浮かべている。

「まひるのばーか、小舅ー」

「何だとちとせテメェ、」

「ねー、オミアイってー?」

「っぎゃー!!ギブ!ギブギブ!」

「あ、こら千速逃げんなテメェ!」

段々ヒートアップしてきて、ぎゃーぎゃーと騒がしくなってきたとき。

ぱちん!

扇子を閉じる音が響いた。


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