2 「じゃー3番」 ごくり、と息を飲む音が響く。 恐る恐る手元のカードをめくり…、 「っぎゃー!またオレかよ!」 「馬鹿千速!小夏が起きるだろ!」 ガツ、と果凜の拳が千速の頭に振り下ろされる。 ぎゃ、と小さく悲鳴をあげて頭をさする。 「ほら、千速。さっさと罰ゲーム確認しなよ」 にやにやと果凜は千速を促す。 ぶちぶちと文句を言いながらも千速は額のメモを下ろす。 ――事の始まりは、暇を持て余したちとせが「何か刺激的なゲームしようぜ!」と、言い出したことだった。 それならと果凜が王様ゲームを提案したが、それじゃあ普通すぎてつまらないということで始まったのが、このデビルレターゲームであった。 「げ…っ!」 千速のメモに書かれていた罰ゲーム。 "ハバネロスナックを1分で1袋完食すること" 「果凜!テメェだろこれ書いたの!」 クシャクシャとメモを丸めて投げ捨てる。 しかし果凜は数回瞬きをすると、 「あたしじゃねぇよ」 「ふざけんな!お前以外に誰がこんな悪質な――!」 「あら、千速。ごめんなさい、それは私だわ」 え、と振り向くとあまりに予想外だった人物が小さく微笑む。 どうやら彼女も適度に退屈していたようだ。 「マジかよ…あやめ」 がくりと肩を落とすと、目の前にスッと何かが差し出された。 視線でそれを辿ると、にっこりとちとせが笑みを浮かべている。 「はい、千速。いくよー、よーい…」 「え、ちょ、待てって」 「待たない!……どん!!」 いつの間に取り出したのか、ストップウォッチのスイッチが押される。 くそ、と小さく毒づき、千速はスナックをざらざらと口に流し込む。 途端に千速は顔を真っ赤にさせて悶え苦しむ。 差し出されたコップを奪うように手に取り、一気に空にする。 「千速、大丈夫?」 「サンキユ、龍妃…」 ぜぇぜぇと肩で息をする千速を、ちとせと果凜が指を指して笑う。 「よし、あと1ゲームやって終わりにすっか!」 時間も時間だし、とちとせが時計を見て言った。 |