4 その昔―― まだ、文明が発達していなかった時代。 人々は、自然と共に生きていた。 人間は自然の力を借り、時に恐れ、敬っていた時代。 ポケモンと心を通わせ、ポケモンの言葉を伝え、天災や禍から街を守ってきた一族があった。 人々はその一族を奉り、崇めた。 一族は栄えたが、盛者必衰。 やがて時代と共に衰えてきた。 原因は、文明の発達。 科学が進歩するにつれ、一族は確実に衰えてきた。 それでも、一族の力は代々受け継がれ、時代が代わってもその一族の力を欲する者は少なからずいた。 街の者はこの力を伝えるため、この血を絶やさないために一族を守り続けた。 争うときも、病めるときも。 禍から街を救ったのは、一族の力だと、街の者はその一族を信じ続けた。 そうして幾代にも渡ったある年のある日。 一人の少女が産まれた。 街の者は少女を神聖なものとして扱った。 故に、少女は孤独だった。 少女には友達がいなかった。 …否、人間の友達がいなかった。 街の者は彼女を神聖視する故に、彼女に近づこうとしなかった。 「ねぇ、遊ぼうよ」 「お母さんがね、ちとせちゃんは"トクベツ"だからって。怪我とかさせちゃ、駄目だからって」 彼女は、いつも一人だった。 彼女の唯一の友達は、心を通わせることのできるポケモンたちだけだった。 故に少女は孤独だった。 故に、少女は孤独だった。 |