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その昔――


まだ、文明が発達していなかった時代。
人々は、自然と共に生きていた。

人間は自然の力を借り、時に恐れ、敬っていた時代。
ポケモンと心を通わせ、ポケモンの言葉を伝え、天災や禍から街を守ってきた一族があった。

人々はその一族を奉り、崇めた。
一族は栄えたが、盛者必衰。
やがて時代と共に衰えてきた。

原因は、文明の発達。
科学が進歩するにつれ、一族は確実に衰えてきた。

それでも、一族の力は代々受け継がれ、時代が代わってもその一族の力を欲する者は少なからずいた。

街の者はこの力を伝えるため、この血を絶やさないために一族を守り続けた。
争うときも、病めるときも。
禍から街を救ったのは、一族の力だと、街の者はその一族を信じ続けた。


そうして幾代にも渡ったある年のある日。
一人の少女が産まれた。

街の者は少女を神聖なものとして扱った。
故に、少女は孤独だった。

少女には友達がいなかった。
…否、人間の友達がいなかった。

街の者は彼女を神聖視する故に、彼女に近づこうとしなかった。

「ねぇ、遊ぼうよ」

「お母さんがね、ちとせちゃんは"トクベツ"だからって。怪我とかさせちゃ、駄目だからって」

彼女は、いつも一人だった。
彼女の唯一の友達は、心を通わせることのできるポケモンたちだけだった。


故に少女は孤独だった。


故に、少女は孤独だった。


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