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『ほらほら、どうしたんだよ?!さっきのはクチだけか?!』

霰に紛れ込ませるように、彼女は氷のつぶてを投げ付ける。
ただでさえ果凛にとって相性の悪いその攻撃は、霰にまぎれて避けることが難しくなり、じわじわと果凛にダメージを与え続ける。

『……っち!』

果凛も応戦しようとしているものの、キラの方が素早さでは勝っている。
フットワークを効かせて一カ所に留まることなく、いろんな角度から氷のつぶてを投げ続けるから、なかなか攻撃に回ることができない……どころか、動きが鈍くなったようにも見える。


……っていうか寒い!あたしまで寒い!!
腕をさすれば恐ろしいくらい鳥肌が立ってる。ガッデム。

「……おい、ちとせ」

「なに、まひる」

するとまひるはエーフィの姿に戻ると、あたしの腕へと飛び込んだ。

『これでちっとはマシだろ』

「うん、さんきゅ」

あー、まひるエーフィんときの手触りまじ最高。
んで、やっぱりあったかい。
……ちょっと重いけど。

『……文句あるなら降りるけど』

「あぁああウソウソ冗談だっていや冗談じゃねーけど。あれだ、あたし座るから膝に乗ってよ」

一旦まひるを下ろして適当な岩場に腰掛ければ、膝の上に飛び乗ってきた。

「……っていうかちとせよぉ」

「なに、千速」

あたしのもふもふタイムを邪魔すんな。

「……いやさ、やべぇんじゃねーの?」

あれ、と千速が親指で指した方へ視線をやれば、

「あ…………果、凛っ!」

降り続ける霰のせいで、果凛の足が完全に止まってしまっていた。
そして、キラがそれを見逃すはずがない。

『……ふ、ははっ!じゃーな、シロガネの"弾丸"!くたばりやがれ!!』

そして冷気を纏った爪を振りかぶり……、

『……っ!』

来るべき攻撃を避けようとせず、果凜は自然体でキラを睨みつけ――




――そして。
小さな砂時計なら流れ落ちてしまうくらいの時間が経過しても、彼女が動く気配はみられない。



冷気を纏った爪を振りかぶり、その切っ先を果凜に突き付けたまま……キラは、正面から果凜を睨みつけていた。


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