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「あやめー、どう思うー?」

『どう、っていうのは?』

――結局、あたしたちはとりあえずシロガネ山に向かうことにした。
理由としては単純で、行き先が決まっていなかったことと、ただ何となく……である。

「いやさあ、果凜よ。何で今更になってなのかなーって」

何となく……ほっといちゃいけない気がするんだ、果凜は。
あの子は多分、誰よりも脆い一面を抱えてるから。

果凜はうちのメンバーの中じゃ一番の新参者だけど、彼女がいわゆるチームを抜けたのは、いうほど最近の話じゃない。
抜けた直後に問題が起こったならわかるけど、もう1年以上経つから時効だろう。

『さぁ……何でなのかしらね』

「ほんとにねー。まあ、あたしあそこ嫌いじゃないけどさ」

いやマジで。
なんてったらいいかわかんないけど、あの雰囲気は嫌いじゃない。

……ただ果凜には、戻って欲しくない。
あたしの勝手な言い分だけどさ。

果凜を呼びに来たゴルバットは、話を聞けば2人いる果凜の妹分のうちの1人らしい。
前にシロガネ行ったときは見かけなかったけど。

彼女はあたしたちを案内するため、少し前方を飛んでいる。

……そういえば、果凜からチーム全体としての話はたまに聞くけど、あんまり仲間については掘り下げて聞いたことなかったなぁ。
もうひとりの妹分てどんな子だろ。
シロガネに着いたら会えるかなぁ。

「ねー。きみ、」

あたしの呼びかけにゴルバットは飛ぶ速度を少し緩める。

『何スか、ちとせの姐御。アタイ、朝は苦手だから早く着きたいんスよ』

言われて見れば、東の空がうっすらと白み始めてる。

「あー、ごめんごめん。いやさ、果凜の妹分てあんたの他にも一人いるんでしょ?どんな子なのかなぁ、って……」

すると彼女は。

『……あんたが、』

「え?」

『あんたが、姐御を連れ出しさえしなけりゃ、あいつだって……!』

言葉を失う。
あたしがシロガネから果凜を連れ出したのが発端だとでも言うのか。
ちくしょ、全然時効になんてなってないじゃないか。


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