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「……ったく、」

「悪かったってば、ちとせ」

「あたしじゃなくて、千速とカイリューに言いなよ……って、あぁあ!!」

しまった、ついうっかりしてたけど、千速本人をあやめたちに任せたまますっかり忘れてた!

「な……なによちとせ。どうしたのよ?」

「……ま、いっか。千速だし、あやめいるし」

あの馬鹿1人にしたらうっかり自殺でもしかねないけど、あやめがいるなら絶対それはねーし。

「……?よくわからないけど、この奥よ」

あたしがひとりで納得してると、イブキは不思議そうにあたしの方を見る。
(失礼な!)

……ともかく。
イブキに案内されたのは、件のカイリューのいるところ。
(もちろん、面倒にならないようにまひるにはボールで待機してもらってる)

カイリューはあのあとパニック起こして暴れ回ったらしく、岩壁とかえぐれてたりする。
しかし、当のカイリューは場所を移動したのか近くには見当たらない。

「カイリュー、どこにいるの?」

しん、と静まり返る洞窟に響き渡るイブキの声。
しかし、その呼びかけに応えたのは。

「ちとせおねえちゃんたち、しー!だよ!」

「ちょ……、小夏?!」

奥から小走りに寄ってきたのは、あやめの後にくっついてったはずの小夏。
なんで小夏がここに、

「あやめちゃんがね、行くわよって言ったの」

つまり、少なくともあやめもここにいるわけか。
それにしたって、その姿は見当たらないけど。

「小夏、そのあやめと……千速はどこにいんの?」

すると小夏は、ピシッと今走ってきた方を指差した。

「あっちだよ!」

小夏が指す方に目をやれば、

「いい加減になさいな。あなたのおかげで、どれだけの人が迷惑していると思ってるの?」

凜と響いたのは、聞き覚えのある声。
あたしたちは示し合わせたわけじゃないけど顔を見合わせて一様に頷くと、その声が聞こえた方へと走り出した。
(小夏は果凜に抱えられて、きゃっきゃとはしゃいでいる)

そうして奥へと進めば、少し開けた空間が現れる。
そこにいたのは、1匹のカイリューとそれを見上げるあやめ、そして……一歩離れたところに千速。

なんであやめがここに……?


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