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「いやね、だからね。あたしだって料理とかできないわけじゃなくてさ、単にあれだ。めんどくせぇだけでさ、」

「やらなかったら一緒じゃねぇかバカヤロウ」

まひるのツッコミに耐え切れずしどろもどろに弁解をしてみたら、案の定白い目で見られた。ちくしょう。

「でもねぇ、こなつ、ちとせお姉ちゃんの作るクッキー好きだよ」

「ありがとう小夏〜!」

ああ、やっぱり小夏はあたしの癒しだわ。

「おい、小夏。あんまりちとせを甘やかすなよ」

小夏に癒されてると水を差すまひる。
なによーこの小舅がー。

あたしの言いたいことを悟ったのか、まひるにジロリと睨まれた。

「それで、ちとせ」

あやめはいつだって冷静で、ぱちんと扇子を閉じた。

「旅に出るとちとせが決めたなら、それもいいわ。でも、本当にその覚悟はあるのね?」

「そうねぇ。中途半端に家出して、途中で戻ったりしたら、今度こそ問答無用でお見合い、結婚かもねぇ」

龍妃が言ったその言葉は、なんだかとっても現実味があった。
あの母様なら、やりかねない。

「あたしさ、割と思い付きで行動すること多いけど、今回はちゃんと考えたつもりだよ」

おかげで今朝知恵熱まで出たんだもん。

「あたし決めたもん。今までずっと母様の言いなりになってたけど、それじゃダメだって」

昔からそうだった。
あたしは短い丈のスカートがはきたかったのに、はしたないと膝より長いスカートや動きにくい着物だったし、朝はコーンフレークが食べたかったのに和食だったし。
あたしだって、もう成人したんだもん!
自分の道は、自分で決める!

そして、朝のコーンフレークを勝ち取るんだ!

「だから、あたしは旅に出るよ」

自分でもう一度確認するように。
あたしは、宣言した。


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